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不眠症

不眠症について

不眠で悩んでいる方は多く、日本人の5人に1人に認められるというデータもあります。また年齢が上がるにつれて頻度が増してくる傾向があり、超高齢社会である日本では、今後もますます増えていくと考えられます。

このようにありふれた症状である不眠ですが、もう一つよく使う言葉である、「睡眠不足」との違いについて知っていますか?
睡眠不足とは、仕事や遊びなどで寝床で過ごす時間がそもそも確保できない状態をいいます。

それに対して不眠とは、夜間寝床に入って眠ろうとしても眠れなかったり、途中で目が覚めてしまったり、寝が浅くなったりして、睡眠の質が低下することを言います。

ここでは不眠についての説明やその影響、セルフケアやお薬についてをお伝えしていきます。

不眠になってしまうメカニズム

不眠が起こるメカニズムには、情動興奮、寝床で過ごす時間、体内時計の3つの要素が深く関わっています。この3つのバランスがうまくとれることで不眠は解消します。

不眠症

情動興奮

寝つけず苦しい思いを経験すると、自宅の寝室に横になっただけで条件反射的に緊張と不安が生じてしまいます。
そうなると、横になっていても頭が冴えてきて、さらに寝つけなくなる負のスパイラルによって、入眠をさまたげる状態が慢性的に形成されます。

寝床で過ごす時間

ある文献によると、夜間睡眠時間は年齢とともに短くなり、25歳で7時間程度であり、45歳で6.5時間程度、65歳以上では6時間程度になります。

長く眠ろうとして、(個人差はあるものの)年齢に見合った睡眠時間を超えて長く床についていると、睡眠が全体的に浅くなり、中途覚醒(途中で目が醒めること、後述)が増えてしまいます。

体内時計

睡眠のタイミングは、体内時計によりコントロールされているため、睡眠をとる時間帯を短期間で大きく変えることは難しいです。
生活パターンをより早く就床するスケジュールに変更したときには、入眠障害(寝つきが悪くなること、後述)が出現することがあります。

また、年齢が上がるにつれ、体内時計は全般的に朝型化してくるために、高齢化とともに特に男性で早朝覚醒(朝早く目が覚めてしまうこと、後述)が増えます。

様々な病気によっても不眠が引き起こされる場合がある

不眠は、他の病気が原因で引き起こされる場合もあります。どのような病気によって引き起こされるのかご紹介します。

気管支喘息

夜間に咳や喘鳴(呼吸がヒューヒュー、ゼーゼーすること)などで不眠になることがあります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に上気道の抵抗が増え、いびきや無呼吸を来し、睡眠が障害されたり、日中だるさや眠気といった症状が現れる病気があります。この病気は肥満がなくても生じることがあります。

睡眠時無呼吸症候群はこんな人に起こりやすい

むずむず脚症候群

就床する頃になると下肢に不快な異常感覚が出現し、足を動かしたいという衝動が出現し、このため著しい入眠障害が出現する病気があります。
患者さんは「むずむずする」「虫が這うような感じがする」「足の奥の方がかゆい」などの症状を訴えます。下肢の症状は夕方や夜に強くなり、朝は比較的楽になります。

周期性四肢運動障害

睡眠中に四肢、特に下肢のぴくつきが繰り返され目が覚める病気があります。
症状には波があり、日によってばらつきがあります。加齢によって増加し、鉄欠乏性貧血や腎機能障害のある方に発症しやすい傾向があります。

アトピー性皮膚炎での不眠

アトピー性皮膚炎などの皮膚病で痒みがある場合、強い痒みのために眠れなかったり、眠りの質が低下したりすることがあります。

更年期障害に伴う不眠

更年期障害では、ほてりや発汗、のぼせといった症状がありますが、不眠になったり、倦怠感が生じたりすることもあります。

精神疾患による不眠

うつ病や不安障害、統合失調症をはじめとした精神疾患の多くで、不眠の症状を認めることがあります。

このように、様々な病気によっても不眠の症状が現れます。
そのため、実際の診察では、眠れないことだけに焦点を置くのではなく、どのような原因で不眠が生じているのかを確認していく必要があります。

あなたの不眠のタイプは?

不眠は大きく分けて、次の4つの型に分かれます。
不眠に悩まれている方は、以下を参考にしてみてください。

入眠障害

床に入ってから寝付くまでの時間(入眠時間)が延びて、寝つきが悪くなることを言います。
不眠の訴えの中では最も多いです。一般的には寝付くまでに30分から1時間以上かかり、本人がそれを苦痛と感じている場合に考えます。ただし入眠時間は個人差や年齢によって大きく異なり、今までの入眠時間と比べてどうかや、それが辛いかどうかといったことも重要です。

中途覚醒

いったん入眠した後、翌朝起床するまでの間に、何度も目が覚めてしまう状態を言います。
ただし中途覚醒は、年齢が上がるに伴い健康な人でも増えるため、高齢者ではその回数が数回以上であったり、持続時間が長い場合を除けば、必ずしも病的とは判断されません。

早朝覚醒

本人が望む時刻、あるいは普段の起床時刻の2時間以上前に覚醒してしまい、その後再入眠できない状態を言います。
こちらも年齢が上がるにつれて増えてきます。

熟眠障害

睡眠時間は十分であるにもかかわらず、深く眠った感覚が得られない状態を言います。

不眠の診療では、これらのうち、どの型の不眠にあてはまるかを考え、それぞれに応じた対策を考えていきます。

不眠症が続くとどんな影響や病気があらわれる?

不眠症が続きますと、日中の過剰な眠気が生じ、注意力が低下したり、作業能力が低下したりします。

特に睡眠時間が4時間以下に減少すると、日中の眠気は急激に強まり、1日1時間程度の睡眠不足でも、それが持続すれば蓄積し、日中の生活に大きな影響が生じます。

不眠が続くと、うつ病などの精神疾患のリスクが高まります。
また、血圧が上昇したり、血糖値が高くなるなど、高血圧や糖尿病などの体の病気のリスクも上昇します。

不眠改善のために自分でできること(非薬物療法について)

不眠改善のために自分でできることといえば、眠りに対する認識の改善、眠りの習慣の改善、寝る前の生活改善などがあります。それぞれご紹介します。

入眠時間

普段床に就く時間(習慣的入眠時間)の2〜4時間前は最も眠りにくい時間帯になります。
そのため、早い時間から眠ろうとされている方は、一定時刻まできちんと起きて過ごした方が良いです。しかしどうしても我慢できないほどの眠気なら、そのまま就床しても良いでしょう。

眠気

1時間程度早い眠気の場合は、気にせず就床して良いですが、3時間以上早い場合は、体調や就寝時刻にもよりますが、中途覚醒を起こしやすくなるため、寝床につかず過ごしていた方が良いでしょう。

眠気が乏しいにもかかわらず眠ろうとすると、かえって頭が冴えてきます。就床しておおよそ20分以上入眠できないときは、いったん寝ようとするのをやめたほうがいいでしょう。別の部屋などに移動し、眠くなってきたら再び就床します。

眠気が乏しく起きていると、就床時間は減りますが、眠気が出てきてから眠るようにすると、熟睡感が増します。

起床

何時間眠れたかにかかわらず、平日も休日も必ず同じ時刻に起床します。早寝早起きではなく、早起きが早寝につながります。
起きたときに太陽光を浴びると、体内時計のリズムがリセットされ、そこから約15〜16時間後に眠気が出現しやすくなります。

アルコール

アルコールは2時間程度の催眠作用がありますが、摂取後数時間経つと、睡眠を浅くする作用があり、中途覚醒や早朝覚醒を引き起こすことがありますので、控えたほうがいいでしょう。

タバコ

タバコにはリラックス効果とともに、覚醒作用があります。

さらに含まれているニコチンには、交感神経を高ぶらせて血圧が上昇したり心拍数を増加させる作用があります。そのため、少なくとも就床の1時間以降はやめたほうが良いでしょう。

カフェイン

カフェインは個人差がありますが、覚醒作用があり、特に入眠障害に影響を及ぼします。カフェインを摂ってから30分くらいしてから覚醒作用が生じ始め、4〜5時間ほど続きます。

また、利尿作用もあるので、中途覚醒の原因にもなりえます。これらのことから、就床時間の4、5時間前以降のカフェイン摂取は控えたほうが良いでしょう。

不眠治療に使う睡眠薬はどのようなもの?

本格的な不眠治療といえば、睡眠薬を使うことをイメージされる方が多いと思いますが、まず先にお伝えしたいのは、そもそも不眠治療の目的は、眠っているときに熟睡感が得られ、日中眠気のことを心配しないで済む状態を達成することにあります。

ただ単に睡眠時間を増やしたり、薬を始めたその日からぐっすり眠れるようにすれば良いのではなく、生活習慣の改善を行いながら、徐々に不眠症状を改善していくことが重要です。

薬だけで治療していこうとすると、薬の量や種類が増えていくことがあり、前述したような自分でできる生活改善とともに行っていくことが重要です。

また、うつ病などの精神疾患や、体の病気が原因で不眠になっている場合は、その病気に対する治療が非常に重要になっていきます。
睡眠薬には様々なものがありますが、主なものとして、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系というものがあります。

これらはともに、眠りを引き起こすGABA神経系の睡眠中枢に作用し、自然な眠りを引き起こす薬であり、眠りを引き起こす効果に加え、不安や緊張を改善させる効果や、筋緊張をほぐす効果などがあります。

非ベンゾジアゼピン系は、ベンゾジアゼピン系と比べ、筋緊張をほぐす効果や不安・緊張の改善効果が弱く、転倒リスクの高い高齢者には第一選択になることが多いです。

一方肩こりなどがある方には、ベンゾジアゼピン系の薬がより効果的な場合があります。
以下にまとめてみます。

作用時間 商品名 筋弛緩作用・抗不安作用
超短時間作用型 マイスリー®
ハルシオン®
アモバン®
ルネスタ®

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短時間作用型 レンドルミン®
エバミール®/ロラメット®
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中時間作用型 サイレース®/ロヒプノール®
ユーロジン®
ネルボン®/ベンザリン®
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長時間作用型 ドラール®

超短時間作用型や短時間作用型は、入眠開始時期に効果があり、翌朝まで効果が持ち越しにくいため、入眠障害の方向けです。一方、中時間作用型や長時間作用型は、中途覚醒や早朝覚醒の方向けです。

こららの薬の他に、メラトニン受容体作動薬というタイプの薬があります。
これは体内時計に働きかけて、体の休息を促し、寝付くまでの時間を短くしたり、睡眠時間を増やしたりする効果があります。

ベンゾジアゼピン系の薬に比べ、眠気を促す作用は弱いですが、筋弛緩作用がありません。
この薬は効果が現れるのに1時間程度かかるため、就床1〜2時間前に内服する場合もあります。

この薬のみ使用する場合は、主に入眠障害の方向けですが、ベンゾジアゼピン系の薬などで入眠障害が改善しない場合に使用することもあります。

また、高齢の方で、転倒が懸念される場合にも使用することがあります。
これらの薬を使用していきながら、生活習慣の見直しや、睡眠に対する理解を深めていただき、診療を進めていきます。

不眠にお悩みの方で、当院での診療をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。
初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。