名古屋市中村区の内科・小児科|亀島駅2分
052-459-3312閉塞性睡眠時無呼吸症候群(以下、睡眠時無呼吸症候群)とは、睡眠中に上気道の抵抗が増え、いびきや無呼吸を来し、睡眠が障害されたり、日中だるさや眠気といった症状が現れる疾患です。みなさんも時おり耳にすることもある言葉ではないでしょうか。
男性では40~50代から増え始め、肥満とも大きく関係します。女性では閉経後に増え始め、ホルモンとの関連が推察されています。このように男性女性とも、中年~壮年期にかけて起こりやすい病気といえます。
ここでは、睡眠時無呼吸症候群があるとどんな症状が出るのか、合併症にはどのようなものがあるのか、どのような診療の流れになるのか、などお伝えしていきたいと思います。
(なお睡眠時無呼吸症候群には、上気道の閉塞によらないものもありますが、ここでは割愛します。)
睡眠時無呼吸症候群による症状は大きく分けると、寝ているときに現れる症状と、起きているときに現れる症状の2つに分かれます。
※起きているときの症状については、訴えがない方が少なくありません。
睡眠時無呼吸症候群を放っておいたままにすると、他の病気を合併しやすくなることがあります。それぞれどれくらいなりやすくなるかというと...。
睡眠時無呼吸症候群は、一般人口の約2倍高血圧症を合併しやすくなります。
また睡眠時無呼吸症候群の方の50~60%は高血圧症を合併しています。
睡眠時無呼吸症候群の無呼吸や低呼吸の症状が重くなるほど、不整脈を合併する頻度が高くなります。
狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患は、一般人口の約2~3倍合併しやすくなります。
脳梗塞や脳出血といった脳血管症は、一般人口の約3~5倍合併しやすくなります。
抑うつ状態や過眠などを来すことがあり、特に抑うつ状態の合併頻度が高くなります。
睡眠時無呼吸症候群があると、日中の眠気やだるさなどの症状が現れ、仕事の能率低下や知的能力の低下、記憶力障害や注意散漫といった症状が現れることがあります。
睡眠時無呼吸症候群による反復する無呼吸や低酸素状態により、命にかかわる不整脈(致死的不整脈)や心疾患などによる突然死のリスクにもなりえます。
大きな理由の一つが肥満です。
睡眠時無呼吸症候群の少なくとも60~70%は肥満と言われており、症状が重くなるにつれ、肥満者の割合が増えます。
もちろん、肥満だけが原因ではなく、下あごが小さかったり、後方に引っ込んでいることによって生じることもあります。
その他、疲労や飲酒、睡眠薬内服は睡眠時無呼吸症候群を悪化させることがあります。
睡眠時無呼吸症候群を引き起こしている原因にもよりますが、この疾患は治療により改善しうるものです。
例えば肥満により睡眠時無呼吸症候群の症状が現れている方が、減量することによって症状が改善することはあります。
診察時に、睡眠時無呼吸症候群の存在を疑う場合は、すでにお伝えした日中・睡眠時の症状があるかないかを問診で確認していきます。
また口腔内や下あごなどを観察し、骨格などによる原因がないかも調べます。
その上で、睡眠時無呼吸症候群の可能性がある方には、携帯型終夜睡眠ポリグラフ検査といって、寝ているときの無呼吸・低呼吸、いびき、酸素の取り込み具合(酸素飽和度)などの様子を評価する検査を行います。
この検査は睡眠の質など詳細に判断することはできません。
しかし、検査機器をお貸しし、ご自宅で行うことができ、無呼吸・低呼吸指数(AHI)と呼ばれる指標を含めた様々な呼吸動態を評価できます。
AHIは1時間当たりの無呼吸と低呼吸の回数を指し、一晩あたりの無呼吸と低呼吸の回数を睡眠時間で割って算出します。
AHIは非常に重要な指標ですが、年齢や体重、寝ているときに目が覚めたりする覚醒状況などによって数値にバラツキが出ることがあり、解釈に注意が必要です。
このように、まずは携帯型終夜睡眠ポリグラフ検査を行い、その結果によっては、より詳しい検査(終夜睡眠ポリグラフ検査など)のため、専門病院にご紹介させていただく場合もあります。
またCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法といって、マスクを介して気道に持続的に圧をかけ、上気道を閉塞させないようにする治療を行う場合もあり、当院でも行っております。
これは日本の保険診療上はAHI≧20で適応を考慮していきますが、より詳しい検査の必要性も含め、総合的に考えていきます。
一方、先ほども書いたように睡眠時無呼吸症候群は肥満が原因で発症されている方が多く、生活習慣病のチェックや、当院の管理栄養士によるアドバイスを行っていく場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群の検査や診療をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。
睡眠時無呼吸症候群
(Sleep Apnea Syndrome: SAS)は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が1時間に5回以上発生する状態を指します。
こうした無呼吸が繰り返されると体内の酸素濃度が低下し、深い睡眠が得られなくなるため、日中の眠気や集中力の低下、高血圧など様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea: OSA)は、日本人の50代男性の約1割が該当するとも報告されており、近年大きな健康課題として注目されています。
睡眠時無呼吸症候群を理解するうえで重要なのが「上気道」の構造です。上気道は主に次の部分で構成されます。
これらは呼吸・嚥下・発声という3つの機能を担うため、睡眠中にいずれかの部位が狭くなったり閉塞したりすると、気道が塞がれて無呼吸が起こります。特に咽頭は軟らかい組織で形成されているため、睡眠時には周囲の骨格や筋肉の状態が大きく影響します。
上気道が狭くなる原因は、主に「構造的要因」と「神経筋要因」に分けられます。ここでは構造的要因、つまり頭蓋顔面や顎・舌の位置などにフォーカスして解説します。上気道は下顎骨・上顎骨・頭蓋底・頸椎などに囲まれており、これらの骨格構造が小さい、あるいは後退している場合には、気道周囲の軟部組織が圧迫されやすくなります。その結果、舌骨が下方に移動し、気道が狭くなることで閉塞リスクが高まるのです。
小さな下顎(小顎症)や後退した下顎(下顎後退症)は、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める重要な要因です。顎が後退していると気道のスペースが狭まり、舌の付け根部分が気道を圧迫しやすくなります。さらに、軟部組織が密集することで上気道が塞がりやすくなり、呼吸が止まりやすい状態を招きます
口の中の上部(口蓋)が高い「高口蓋」や狭い口蓋弓は、鼻腔や口腔内のスペースに制限が生じるため、気道抵抗が増加してしまう恐れがあります。口蓋が高いほど舌が上方に押し上げられ、気道の通り道が狭くなる可能性があるため、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいと考えられます。
舌の大きさと位置を評価する指標として、Mallampati分類やFriedman舌位置分類などが医療現場で用いられます。特にMallampati分類では、口を開いた際に見える咽頭構造によって4つのクラスに分けられます。
クラス3以上に該当する場合、舌が大きかったり、後方に位置していたりして上気道を圧迫しやすく、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いとされます。
睡眠時無呼吸症候群は、単なる肥満よりも「首回り(頸囲)」や「腹囲」が増大しているほどリスクが高いと報告されています。
首回りは男性で約43cm以上、女性で約41cm以上になると睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクが上がるとされています。また、腹囲が男性で100.5cm以上、女性で95.5cm以上の場合もリスクが高いと示唆されています。
さらに、身長に対する腹囲の比率が以下の数値を超えると、発症リスクがいっそう高まる可能性があります。
男性:腹囲 / 身長 > 0.575
女性:腹囲 / 身長 > 0.595
特に腹部肥満(内臓脂肪型肥満)は、横隔膜や胸郭の動きを制限しやすいため、呼吸が浅くなりやすく、睡眠時の無呼吸を助長する要因となります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が停止・低呼吸することで身体に大きな負担をかけ、日中の眠気や集中力の低下だけでなく、高血圧や心血管疾患などの合併症リスクを高める深刻な病気です。
特に以下のような顔つき・体型的特徴がある場合、リスクが高まることがわかっています。
上記の特徴をお持ちの方は、生活習慣の見直しや早めの医療機関への受診・検査が重要です。早期に対策を講じることで、合併症リスクの軽減やQOL(生活の質)の維持に大きく寄与する可能性があります。日中の強い眠気やいびきなどの症状が気になる場合には、ぜひ専門医に相談してみてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、睡眠時無呼吸症候群の診断や治療を行うものではありません。実際の治療方針や精密検査の必要性については、必ず医師の診察・指導を受けてください。
睡眠時無呼吸症候群の検査や診療をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。