名古屋市中村区の内科・小児科|亀島駅2分
052-459-3312睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりする病気です。
日中の強い眠気やいびきなどの症状だけでなく、放置すると高血圧や心臓病などの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
なぜこのような症状が起こるのでしょうか?この記事では、睡眠時無呼吸症候群の主な原因とリスク要因について解説します。
睡眠時無呼吸症候群には主に以下の3つのタイプがあり、それぞれ原因が異なります。
最も一般的なタイプで、日本人の睡眠時無呼吸症候群の約9割を占めます。
睡眠中に上気道(鼻からのどにかけての空気の通り道)が物理的に狭くなったり閉塞したりすることで起こります。
脳から呼吸筋への指令に問題があり、呼吸をコントロールする神経機能の障害によって起こります。
脳が呼吸するように適切な指令を出せないため、呼吸が止まってしまいます。
閉塞性と中枢性の両方の特徴をあわせ持つタイプです。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に上気道が狭くなったり塞がったりすることで起こります。
具体的には以下のような仕組みがあります。
睡眠中は体の筋肉がリラックスし、特にのどの筋肉(舌や軟口蓋など)が過度に弛緩すると、気道が狭くなりやすくなります。
仰向けの姿勢は重力の影響で舌が後方へ下がり、気道を塞ぎやすい状態を招きます。
これはちょうど、水が流れる管が途中で潰れてしまうようなイメージです。
肥満は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の最も重要なリスク要因の一つです。
首や喉周辺に脂肪が蓄積すると気道を圧迫しやすくなり、また腹部の脂肪が横隔膜を圧迫して呼吸に必要なスペースを減少させます。
例えば、体重が10%増加すると、睡眠時無呼吸症候群の発症リスクが約6倍になるとの報告もあります。
中枢性睡眠時無呼吸症候群は、脳による呼吸コントロールに問題がある場合に起こります。
主な原因には以下のようなものがあります。
心機能の低下によって体内の二酸化炭素と酸素のバランスが乱れ、呼吸コントロールに影響を与えることがあります。
特に、チェーン・ストークス呼吸と呼ばれる周期的な異常呼吸がみられる場合があります。
脳幹がダメージを受けると、呼吸を制御する神経回路に問題が生じ、中枢性睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあります。
オピオイド系鎮痛薬(モルヒネなど)や一部の睡眠薬は、脳の呼吸制御中枢に作用し、呼吸を抑制する可能性があります。
高地に移動したばかりの人は、気圧の変化に体が適応する過程で、一時的に中枢性睡眠時無呼吸症候群の症状が出ることがあります。
睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなる要因には、以下のようなものがあります。
加齢とともにリスクは高まります。
特に40歳以上の男性や閉経後の女性でリスクが上昇します。これは年齢により筋肉の張りが低下し、上気道が狭くなりやすくなるためです。
男性は女性よりも発症率が高く、特に中年男性では女性の2〜3倍というデータもあります。
ただし、閉経後の女性では男性に近いリスクレベルまで上昇するとされています。
顔の骨格や上気道の形状は遺伝的要素が大きいため、家族に睡眠時無呼吸症候群の方がいる場合はリスクが高まります。
以下の疾患をお持ちの方は、睡眠時無呼吸症候群のリスクがさらに高まります。
完全に防ぐことが難しい場合でも、以下の対策によりリスクを低減することが期待できます。
肥満は主要なリスク要因です。適正体重を維持することで症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
体重が10%減ると、無呼吸低呼吸指数(AHI)が平均で約26%改善するというデータもあります。
仰向けで寝ると気道が塞がりやすい傾向があります。
横向きで寝る習慣をつけると、舌が後方へ下がるのを防ぎやすくなります。
「テニスボール法」と呼ばれる方法では、パジャマの背中にテニスボールを縫い付け、仰向けになると不快感があって自然と横向き姿勢を保つようになります。
鼻づまりは口呼吸を誘発し、睡眠時無呼吸症候群を悪化させる可能性があります。
アレルギー性鼻炎などが原因の場合は、適切な治療を受けることが重要です。
A1: はい、肥満でない方でも
睡眠時無呼吸症候群を発症する
可能性はあります。
特に顎が小さい、扁桃が肥大しているなどの解剖学的特徴を持つ場合や、加齢による筋力低下がある場合など、標準体重でもリスクが高まることがあります。
アジア人は欧米人に比べ肥満度が低くても発症しやすいと言われています。
A2: 子どもの場合、
扁桃やアデノイドの肥大が
主な原因になることが多く、
この点で大人とは異なります。
大人では肥満が最も一般的な要因ですが、子どもでは口呼吸やアレルギー性鼻炎などが大きく影響します。扁桃摘出術などの治療で改善するケースも少なくありません。
睡眠時無呼吸症候群は、上気道の狭窄(閉塞性)や脳の呼吸制御異常(中枢性)など、複数の要因が組み合わさって発症する疾患です。
年齢・性別・肥満・家族歴・生活習慣など、コントロールしにくい要因も含まれますが、体重管理や睡眠姿勢の見直し、生活習慣の改善など、自分で取り組める予防策も数多くあります。
いびきや日中の強い眠気を「ただの疲れ」と見過ごさず、疑わしい症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療を受けることで症状の改善だけでなく、合併症リスクの低減にもつながります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、睡眠時無呼吸症候群の診断や治療を行うものではありません。実際の治療方針や精密検査の必要性については、必ず医師の診察・指導を受けてください。
睡眠時無呼吸症候群の検査や診療をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。