名古屋市中村区の内科・小児科|亀島駅2分
052-459-3312蕁麻疹は最もありふれた皮膚症状の一つで、痒みを伴った盛り上がった皮疹が、出たり治まったりする疾患です。
蕁麻疹は様々な原因で生じることがあり、また蕁麻疹と似ているけれども異なる病気もあります。
ありふれた病気ですが、わかりにくいところがある蕁麻疹。
いったいその原因にはどういったものがあるのか、どのように対応し、どうやって治療するのかについてお伝えしていきます。
蕁麻疹は痒みを伴った盛り上がった皮疹で、色は赤くなっていたりそのままの皮膚の色だったりします。
一つ一つの発疹は、通常24時間以内に出たり治まったりします。このような性質の皮疹であれば、蕁麻疹と考えてほぼ間違いありません。
蕁麻疹が生じるメカニズムは、実はまだわかっていないことが多々あります。
しかし基本的には、体の中に蕁麻疹を起こしやすくするような状態(背景因子)があり、そこに引き金となる原因(直接的誘因)が加わることで発症すると考えられています。
主に次の3つのようなものが挙げられます。
ウィルスや細菌による感染症は、蕁麻疹に関与していると考えられています。
例えばかぜや溶連菌による感染症があるときでも蕁麻疹が生じやすくなります。その他、胃・十二指腸潰瘍や胃がんなどの原因にもなる、ピロリ菌の感染も、慢性的な蕁麻疹に関与している可能性が指摘されています。
蕁麻疹は過労やストレスによって発症したり、あるいは症状が強くなったりします。
原因ははっきりしておりませんが、ストレスによる自律神経の変化が免疫系に影響を及ぼし、発症していると考えられています。
体の病気があることによって、蕁麻疹が生じることがあります。
例えばB型肝炎やC型肝炎がある場合、慢性的な蕁麻疹が生じることがあります。
全身性エリテマトーデスなどの膠原病でも蕁麻疹のような皮疹(蕁麻疹様血管炎)が生じることがあります。
背景因子に比べて、日々の生活に根ざしたことが引き金になり、多岐にわたりますが、主に以下のようなものが挙げられます。
食物や薬などが原因となり、アレルギー反応が生じ、その症状として蕁麻疹が生じることがあります。
しばしば蕁麻疹が生じた患者さんから、アレルギーを調べてほしい、と希望されることがありますが、実は蕁麻疹の原因の数%程度でしかないという報告もあります。
掻きむしったりする刺激や、寒冷刺激、日光、温熱、振動といったものが蕁麻疹を引き起こすことがあります。
発汗を促す「刺激」が蕁麻疹を引き起こすこともありますし、汗そのものが蕁麻疹の原因となることもあります。
先にお伝えしたように、食物は、アレルギーの原因(アレルゲン)となり蕁麻疹を引き起こすことがあります。しかしアレルギーのメカニズムとは別に、食物が蕁麻疹を引き起こすことがあります。
例えば新鮮でない魚類は、ヒスタミンという蕁麻疹を引き起こすことがある物質を多く含みやすくなりますし、鶏肉やタケノコ、香辛料など多くの食物で、蕁麻疹が誘発されることがあります。しかしこれらはまだわかってないことも多いのが現状です。
ある種の痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)や抗生物質などは、蕁麻疹を誘発したり悪化させることがあります。
また降圧剤(ACE阻害薬)やある種の抗生物質などは、血管性浮腫といって、特に眼瞼や口唇に生じやすい、急に浮腫んで腫れる病気を引き起こすことがあります。
運動や入浴、飲酒は皮膚の血管を拡張させ、発汗に結びつき、蕁麻疹が生じさせたり悪化させることがあります。
その他、ある食物を食べた後2~3時間以内に運動をすると、アナフィラキシーという、複数の臓器にアレルギー症状が出る、危険性の高い症状が出ることがあります(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)
原因となる食物は小麦や甲殻類が多いですが、この原因となる食べ物を摂った後数時間以内に運動すれば必ず生じるわけではなく、疲労や感冒、ストレス、気温の高低、飲酒、入浴、花粉の飛散など様々な要因が関与すると考えられています。
蕁麻疹と思われる皮疹が出てきた場合、まずは蕁麻疹の症状が悪化しないように、悪化因子を避けることが大事なこととなります。
具体的には、掻きむしったり、運動したり入浴したりお酒を飲んだりなどする行為は、さらに症状が強くなる可能性がありますので、避けていただいたほうが良いでしょう。
また、蕁麻疹以外に、息苦しさや喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーする呼吸)、気持ち悪さや吐き気や腹痛、四肢の冷汗や意識が遠のく感じなど伴っていれば、アナフィラキシーを疑う状況であり、病院に緊急受診する必要があります。
蕁麻疹には様々な原因がありますから、症状が現れたらまずは病院に受診し相談することをお勧めします。
先にお伝えしたように、蕁麻疹の原因は様々にあるため、お話をくわしくお聴きすることが非常に重要です。実際の診察では以下のようなことをお聴きしていきます。
以上のようなことをお聴きしながら、原因を絞っていきます。
また、既にお伝えしたように、蕁麻疹におけるアレルギーの関与は必ずしも多くはないのですが、必要に応じてアレルギー検査(アレルゲンの特定のための採血や皮膚テスト)を行う場合もあります。
治療については蕁麻疹の原因によってずいぶん異なってきます。
蕁麻疹は症状が1か月以上続く場合、慢性蕁麻疹といい、1か月以内の場合、急性蕁麻疹といいます。
急性であっても慢性であっても、蕁麻疹の治療の基本は、症状を誘発する因子の有無について調査した上、可能ならばその因子の除去・回避をし、現在の症状を落ち着かせることにあります。
治療薬としては、抗ヒスタミン薬をまず考えますが、症状に応じて抗ロイコトリエン薬やステロイドなどを併用したりすることもあります。
アナフィラキシーのような非常に危険性が高い病状であれば、処置を行いながらすぐに救急搬送が必要なこともありますが、クリニックにおいては非常にまれです。
蕁麻疹が続くとき、その症状が悪化しないようにするには、悪化因子を避けることが重要です。
既にお伝えしてきたように、物理的刺激(掻きむしったり、冷たい刺激、温かい刺激、日光、振動など)や運動、お酒などは、さらに症状が強くなる可能性がありますので、避けていただいたほうが良いでしょう。
しかし、いずれにせよ、蕁麻疹には様々な原因がある上、原因によって治療やケアが異なる場合もあり、症状が現れたら自己判断せず、まずは病院に受診し相談することをお勧めします。
蕁麻疹について、当院での診療をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。
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