名古屋市中村区の内科・小児科|亀島駅2分
052-459-3312貧血になりやすいと、毎日だるくて疲れやすいな、と感じてらっしゃる方も多いと思います。
その一方で、健康診断で貧血を指摘されたけど、自分には貧血なんてまったくない、と思っている方も多いと思います。
しかし、実際に診察してみると実は貧血だった...、という方も少なくありません。
貧血の原因もよく言われるような鉄分不足だけではなく、さまざまな原因があるのですが、ご存知ですか?
原因の中で特に多い「鉄欠乏性貧血」が疑われる場合はフェリチン検査などを追加して、患者さんの症状に合わせた適切な治療を行っていきます。
名駅ファミリアクリニックは、貧血を疑われている方はもちろん、慢性的な貧血患者さんの来院が多く、また、総合診療科として、貧血以外の症状についてもあわせて診察が可能です。
このようなお悩みをお持ちの方はぜひ一度当院までご相談ください。
初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。
鉄分不足がよく知られている貧血ですが、実はそれ以外にも多くの原因があり、その一部をご紹介します。
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄量が不足することで生じます。
これは鉄の摂取不足だけではなく、消失(消化管出血など)、需要の増加(妊娠など)によっても起こります。
ビタミンB12という成分が不足しても貧血が生じます。
これは高齢者や胃を手術で取った方に多い貧血で、貧血症状以外にも、認知機能の低下や感覚障害などを引き起こします。
葉酸が不足して生じる貧血は、アルコール依存症の方に多いです。
これはアルコールが葉酸の吸収を低下させてしまうためです。その他、高齢者にも多いです。
お薬によっても貧血になることがあります。
胃薬・糖尿病治療薬・尿酸を下げる薬・抗生剤・抗てんかん薬などの一部があてはまります。お薬を定期的に内服中で貧血のある方は、必ずご相談ください。
がんなど慢性的に炎症が続いている方でも、貧血になることがあります。
このような場合も、必ず病院を受診し、詳しく調べてもらったほうが良いと言えるでしょう。
はじめての診察の方には、貧血原因を特定するため、採血検査によって原因を特定していきます。
貧血を診断するためにまず、ヘモグロビンという赤血球にあるタンパク成分をみます。
WHO基準では、成人男子は13g/dl未満、成人女子や小児は12g/dl未満、高齢者では男女とも11g/dl未満と定義されます。
次に赤血球の大きさ(MCV)をみます。おおむね、MCVが80fL以下の場合を小球性貧血、80~100fLを正球性貧血、100fL以上を大球性貧血といいます。
このうち、鉄欠乏性貧血は小球性貧血に分類されます。
さらに、赤血球などの細胞に含まれている、LDH(乳酸脱水素酵素)という成分をみます。
赤血球が破壊されるような病気(溶血性貧血など)があると、このLDHが高くなります。
しかしそれ以外でも高くなることがあり、経過を踏まえ、様々なデータを総合的に診断していきます。
そして、骨髄での赤血球の産生を評価する、RPI(網赤血球産生指数)という値をみます。
RPIの数値が2以下では産生低下を示唆し、2以上では産生亢進を示唆します。
例えば、鉄欠乏性貧血は鉄という材料が不足しているため、産生が低下しRPIが低くなる傾向があります。
小球性貧血(MCVが80以下)の場合、貧血の中でもっともよく見かける鉄欠乏性貧血が疑われ、以下の検査を追加していきます。
フェリチンは肝臓や脾臓など多くの臓器に広く存在するタンパクで、鉄を細胞内に貯蔵する役割があります。
フェリチンの数値が20ng/mL以下であれば、鉄欠乏性貧血と言えます。
逆にフェリチンが100ng/mL以上であれば、基本的に鉄欠乏が原因とは考えられません。
20~100ng/mLの間である場合、低ければ低いほど、鉄欠乏の可能性が高くなりますが、他の原因も考えながら、鑑別診断を行っていきます。
鉄は血液の中でトランスフェリンというタンパクと結合して運ばれます。
トランスフェリン飽和度は、この結合の程度を評価するもので、15%以下の場合、鉄欠乏の可能性が高くなります。
これらの数値は初期診断にも使用しますが、治療をすすめていくときにも使用していきます。
フェリチンやトランスフェリン飽和度を高めていくことが、貧血を改善していくひとつのベンチマークとなり、治療によってこの数値が高くなれば貧血が改善しているといえます。
まず、血便などの症状があり、消化管出血を疑う場合などは、内視鏡で調べてもらう必要があり、他病院へご紹介させていただいております。
採血やフェリチン検査などによって鉄欠乏性貧血が疑われる場合は、以下のような治療をすすめていきます。
まず、原因が月経過多であると、明確に診断がついている方には、トラネキサム酸というお薬を使用することもあります。
月経開始から4~7日間内服することで、出血量を、約3割~6割減らせることがあります。
お薬で鉄剤を使用する場合には、様々な注意が必要であり、使用前に患者さんに説明を行っています。
鉄剤を内服すると、吐き気や食欲低下といった症状が現れる方がいらっしゃるからです。
使用量が多ければ多いほど生じやすいため、最初はできるだけ少量で始めるようにしています。
腸管から1日に吸収できる鉄の量は10㎎程度となるため、少量の鉄剤を、ビタミンCがたくさん含まれている、果物のジュースなどと一緒に摂取することをおすすめしています。
以下の表のように、数週間~数ヶ月かけて改善していくため、患者さんと相談しながら適宜採血を行い評価していきます。
経過 | 反応 |
---|---|
1週間 | ヘモグロビン上昇、MCV上昇 |
1~2週間 | フェリチンの上昇 |
2~3ヶ月 | ヘモグロビンの正常化、MCVの正常化 |
3ヶ月 | フェリチン正常化 |
鉄を細胞内に貯蔵する役割があるフェリチンが正常化した後、再び減少してこないかを、しばらく経過観察することもあります。 このように、治療はおもに鉄剤の内服によって治療してきますが、できる限りお薬に頼りたくない方も多いと思います。
そのような方には、次にご紹介する「食事療法」をおすすめさせていただいております。
貧血治療は長期に及ぶこともあるため、名駅ファミリアクリニックでは、まず患者さんの症状を把握し、しっかりと治療内容をお伝えしながら診療をすすめていきます。
貧血にお悩みの方で、当院での診療をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。
鉄欠乏貧血は、鉄分を多く摂ることで解決すると単純に思われがちですが、実はそうではなく、さまざまなコツがあることはご存知ですか? 食事によって予防するためのポイントは2つあります。
貧血の原因が鉄不足があるからといって、たくさん鉄を摂取すれば、そのすべてが吸収されるわけではありません。 骨髄が使用できる鉄の量は1日当たり、20~60㎎程度と言われています。
また、腸管から吸収できる鉄の量は、1日に10㎎程度です。
そのため、食事やサプリメントでたくさん摂取したとしても、全部が吸収されるわけではありません。
そのため、一度に多く摂るよりも毎日継続して一定量を摂取することが大事であるといえます。
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、吸収率が異なります。
赤血球の中にあるヘモグロビンに由来し、赤身肉や魚に含まれています。
吸収率は15~35%であり、食事内容による影響をあまり受けません。
豆類やほうれん草などの野菜に含まれます。
吸収率は2~20%であり、食品中のさまざまな成分によって吸収率が大きく変わります。
非ヘム鉄は、動物性タンパク質や、ビタミンCと一緒に摂取することで、吸収率を高めることができます。
一方、カルシウム、ポリフェノール類、またお茶などに含まれているタンニンなどは、非ヘム鉄の吸収率を下げますので、同時に摂取すると吸収が阻害されてしまいます。
非ヘム鉄を摂取した場合、吸収という面では注意が必要な成分です。
鉄欠乏性貧血を食事によって改善するには、ヘム鉄の食材を毎日継続的に一定量を摂ることが最短かつ効率的であるといえます。
どの食材にヘム鉄が多く含まれているかは、インターネットで検索するとたくさん出てくると思いますが、特に文部科学省のサイトにわかりやすく紹介されています。
鉄欠乏性貧血を改善するには数ヶ月以上かかるため、日々続けられる食事療法としてご紹介しましたが、改善しない場合は、鉄剤の服用などでの治療をおすすめしております。
貧血では、主にこのような症状が出ることがあります。
しかしこれらの症状の多くは漠然としており、他の病気でも現れる場合もありますし、逆に貧血が原因であっても、気づいていない方が多いのが現状です。
例えば、健康診断などで偶然貧血であることが見つかって、治療することで症状が改善し、はじめて上記のような症状が続いていたことに気づかれる方も多いです。
そのため、自覚症状だけで、自分が貧血であることを見極めるのは難しいかもしれません。
私たちの診察では、しっかりと患者さんのお話に耳を傾け、いつから症状が始まったのか、どのような生活習慣があるのか、これまでにどのような検査を行ってきたのか、などを慎重にお聴きした上で診断しています。
ただし、特に緊急性が高い徴候や、貧血に比較的特異的な症状も一部には存在します。
以下でご紹介するこのような症状が出ている場合には、すぐに病院へ受診することをおすすめします。
黒い便(黒色便)がみられるとき、消化管からの出血(潰瘍やがんなど)が疑われます。そのうちの約90%は、食道から胃、十二指腸までの部分(上部消化管)からの出血が原因です。
しかし、小腸や右側の大腸からの出血でも発生することがあります。 黒色便は、ごく少量の出血であれば認められませんが、50ml程度の出血であれば見られることがあります。
また、ワインやイカ墨などの摂取でも認めることはありますが、消化管出血は急を要する場合も多くあります。 そのため、内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)ができる消化器内科へ早めの受診をお勧めします。
小腸から大腸までの部分からの出血の場合、便に血が混じる(血便)ことがあります。
また、上記の上部消化管からの出血であっても、大量であれば血便として排出されることがあります。
血便がみられる場合、ポリープや痔によるものも多いですが、がんからの出血の可能性も否定できません。 やはり内視鏡検査ができる、消化器内科への早めの受診をお勧めします。
食べ物ではないものを無性に食べたくなる症状を、異食症といいます。
そのうち、氷が無性に食べたくなることを、氷食症といいます。
異食症は鉄欠乏の方だけに認められるわけではありませんが、氷食症は鉄欠乏の方に非常に特異的な症状です。
また、貧血まで至らない鉄欠乏の方であっても、氷食症の症状が現れることがあります。
ある統計では、鉄欠乏性貧血がある人の6割弱に異食症がみられ、異食症がみられた方の9割弱が氷食症であったという報告があります。
このような症状のある方は、鉄欠乏貧血の可能性があるので、一度病院で調べてもらうことをお勧めします。
むずむず脚症候群とは、安静時に手や脚に不快感が生じて、動かしたくなる症状で、特に夕方から深夜に多い症状です。
手足を動かすと、その不快感は軽減されるのが特徴です。
日本人の場合、週2回以上症状がある方に限ると、約1%に認められるという報告があります。
むずむず脚症候群の原因はまだはっきりしていませんが、脳などの中枢神経系の鉄不足が指摘されています。
また、鉄欠乏性貧血がある方の約24%に、むずむず脚症候群の症状があったという報告もあります。
むずむず脚症候群のすべてが鉄欠乏によるものではありませんが、もしこのような症状が続く方は、一度病院で調べてもらうことをおすすめします。