骨粗鬆症は知らないうちに起こりやすい~若いうちから行いたい予防と対策は?

骨は成長期にバランスを取りながら大きくなっていきます。

この成長期を過ぎた後も、常に新陳代謝によって新しく作り変えられていますが、これをリモデリングといいます。

骨粗鬆症とは、このリモデリングが障害されて生じる代表的な疾患です。

閉経に伴う女性ホルモンの変化や、加齢に伴う筋力低下による骨への負荷の低下などによって生じることが多いものの、骨粗鬆症があることで、どんなリスクがあるのか、診断や治療、そして予防のためにはどのようなことに気をつけていったら良いのかお伝えしていきます。

どんな部位が骨折しやすい?

骨粗鬆症では全身の骨がもろくなるため、全身のどの骨であっても骨折するリスクが増えます。

その中でも生じやすいのが、「橈骨遠位端骨折」、「上腕骨近位端骨折」、「大腿骨近位部骨折」、そして「椎体骨折」で、これらは四肢(両手と両脚)の長い骨と背骨の骨折です。

骨は、縁の部分の皮質骨と呼ばれる硬い部分と、内側の海綿骨と呼ばれる網目状の部分からなります。

骨粗鬆症になると、この海綿骨の骨量が減少しやすく、皮質骨よりも海綿骨の強度が低下しやすいです。

四肢の骨のような長い骨では、一番端っこの部分(骨端)の少し内側の部分(骨幹端)は、その強度を海綿骨に依存する割合が大きいため、海綿骨の強度が低下しやすく、結果的に骨幹端が折れやすくなるのです。

骨粗鬆症は身近な病気で、寿命も短くなる統計

日本では、骨粗鬆症がある人はおよそ1300万人いるとされており、非常に身近な病気と言えます。特に女性の方に多く、その数は1000万人になります。

こんなに多い疾患である骨粗鬆症ですが、死亡リスクが上昇するという報告もあり、若いうちから是非予防策を考えていきたい疾患でもあります。

骨粗鬆症はどう診断する?

骨の丈夫さを表す指標として、骨強度というものがあり、骨密度と骨質の2つの要因から成り立ちます。骨質とは骨の構造や材質に関する質を表します。

これらのうち、骨密度は骨強度の7割を占め、骨質は3割を担っていると考えられています。

日本のガイドラインでは、骨粗鬆症は、転倒などの軽微な外力による骨折(脆弱性骨折)の有無や、若年成人の平均骨密度(YAM)との比較などで診断していくことになっており、骨折リスクを念頭に置いた基準になっています。

脆弱性骨折は問診によって、骨密度はレントゲンによって評価していきます。
骨粗鬆症は、ステロイド薬の長期内服や、ホルモンの病気(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症など)などによって生じることがあり、これらも問診や診察によって判断していきます。

こうして他の原因疾患を除外した後に、(原発性)骨粗鬆症の診断がなされます。
診断基準を掲載します。

Ⅰ.脆弱性骨折あり

1. 椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり
2. その他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満

Ⅱ.脆弱性骨折なし

骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD(標準偏差)以下

他の疾患が除外されており、上記のいずれかを満たす場合、(原発性)骨粗鬆症と診断されます。

骨粗鬆症の治療について

骨粗鬆症の治療には、薬物療法と非薬物療法があります。

非薬物療法には食事療法と運動療法などがありますが、ここではまず薬物療法について簡単に紹介し、非薬物療法については次章でお伝えしていきます。

(原発性)骨粗鬆症と診断された場合、薬による治療はいつから始めれば良いのでしょうか。

現在の基本的な考えでは、骨粗鬆症と診断されたらすぐに薬物療法を開始したほうがよいとされています。

しかし、骨粗鬆症になってしまう少し前の段階からでも、薬物療法を開始したほうが良いと考えられる場合があります。

それは、脆弱性骨折がなく、骨密度がYAMの70%よりは高いが80%未満である場合の人で、かつ以下のいずれかに当てはまる場合です。

  1. 大腿骨近位部骨折の家族歴がある場合
  2. 75歳未満でありかつFRAXという骨折リスク評価ツールを用いて、その人の10年間の主要骨折(椎体骨折、上腕骨近位部骨折、前腕骨骨折、大腿骨近位部骨折)の骨折確率を調べた場合、その確率が15%以上である場合

実際の治療薬の選択基準としては、年齢や腎機能、閉経後骨粗鬆症の有無、骨折リスクの部位などによって選択していきます。

骨粗鬆症を予防していくためにできること

骨粗鬆症には、一次予防、二次予防、三次予防という3つの予防があります。

一次予防とは、骨量が増加する成長期に、十分な栄養摂取や運動によって最大骨量を増やしておくことをいいます。

二次予防とは、生活習慣の改善や、食事の見直し、日々の運動など、さまざまな対策をできるだけ早い年齢から取ることによって、骨量の減少を抑えることをいいます。

三次予防とは、骨粗鬆症になってしまった後に、骨折を防ぐため、転倒予防や薬物療法などの対策を積極的に行うことをいいます。

すなわち骨粗鬆症は、幼少期から老年期まで、長期的な予防と対策が考えられる疾患なのです。

ここでは特に二次予防として食事や運動対策についてお伝えしていきます。

骨粗鬆症の予防に最適な食事対策

成長が止まった成人以降では、骨の代謝はリモデリング(新陳代謝によって常に新しく作り変えられること)のみとなり、骨が増えることはありません。しかし成人以降でも骨に必要な栄養を十分摂ることによって、健康な骨を維持することは可能です。

そのためには骨に良い栄養素であるカルシウム、タンパク質、ビタミンD、ビタミンKなどを十分に摂取することが大切です。

カルシウム
骨の主要な構成成分であり、体内のカルシウムの99%は骨に存在します。必要なカルシウム摂取量は、男女とも12~14歳の成長期で最大となり、成人以降は少なめに設定されています。
50代以降では、一日当たり、男性で700㎎、女性で650㎎となっています。
しかしこれは骨量が十分に獲得された場合の推定値と考えられ、骨粗鬆症の治療として必要なカルシウム量は、一日当たり700~800㎎が推奨されています。
カルシウムは、牛乳や乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆や大豆製品などに多く含まれています。
タンパク質
骨のコラーゲンを作る材料であり、全身の筋肉を作るための最も重要な材料です。
タンパク質には、骨粗鬆症の場合の推奨量は決められていません。そのため、健康な成人が推奨されている摂取量を参考にすると、18歳以降で、一日当たり、男性で60g、女性で50gになります。
もちろん、必要とされるタンパク質の量は、個人の体格にも関係します。
タンパク質は、肉類、魚、卵、豆製品などに多く含まれています。
ビタミンD
食事からの摂取とともに日光からの紫外線を浴びることによって皮膚でも合成されます。
ビタミンDの役割は、腸管からのカルシウム吸収を促し、腎臓からのカルシウムの再吸収(いったん排出されたカルシウムを再度取り込むこと)の促進、そして骨吸収のコントロールなどがあります。
ビタミンDは魚類に多く含まれるほか、キノコ類にも比較的多く含まれており、特に乾燥きくらげはビタミンDの宝庫です。
骨粗鬆症の人は、一日15~20μg摂取することが推奨されています。特にカルシウムと一緒に摂取することで、腸からのカルシウム吸収率を高めることができます。
ビタミンK
ビタミンKには骨の形成を促す働きがあります。
骨粗鬆症の人では、一日当たり、250~300μgの摂取が推奨されています。
ビタミンKは特に納豆に多いですが、小松菜、ほうれん草、ニラ、ブロッコリーなどの緑色野菜に多く含まれています。

摂り過ぎに注意したい食品や飲料は?

逆に、骨粗鬆症に悪影響を与える摂り過ぎに注意したい食品や飲料もあります。

まず、アルコールをたくさん飲むと、骨の細胞の働きを弱め、ビタミンDの代謝にとって重要な臓器である、肝臓の機能を障害し、さらに栄養障害も引き起こしてしまいます。

また、リンはインスタント食品や加工食品、一部の清涼飲料水などに、食品添加物としてしばしば含まれています。リンを過剰に摂りすぎると、カルシウムの吸収が阻害されてしまうため、注意が必要です。

コーヒーなどのカフェインを多く含む飲料には利尿作用があるため、飲みすぎると尿中にカルシウムが失われてしまう可能性が高いと言われています。

骨粗鬆症の予防に最適な運動対策

若い頃に、ジャンプ運動やランニングなど、骨に刺激が加わりやすい運動をしていると、最大骨量が高まりやすくなります。

高齢者のかたでも、十分なカルシウムを摂って、ウォーキングなどの運動習慣を身に付けておくと、骨密度を維持し、骨折リスクを減らすことが期待できます。

このように、食事と運動を意識することで、骨量をできるだけ維持し、骨粗鬆症を予防することが可能です。

骨粗鬆症について、当院での診療をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。

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参考文献
宮腰尚久著.シリーズ・骨の話③ 骨粗鬆症―「鬆」とはなにか、骨の中で起こっていること―.ミネルヴァ書房,2016
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成員会編.骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版.ライフサイエンス出版,2015

筆者プロフィール

院長:田島光浩

平成19年 信州大学医学部卒業卒後臨床研修の後、平成21年より名古屋大学総合診療科後期研修プログラム(日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医後期研修認定プログラム)にて後期研修を行う。 その間、名古屋大学総合診療科、愛知県がんセンター愛知病院緩和ケア内科、名古屋掖済会病院小児科、名古屋医療センター総合内科などで勤務。平成25年日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医取得。

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