卵アレルギーの診断方法と食事の注意点は?

卵アレルギーは、乳幼児で最も頻度が高く出現するアレルゲン(アレルギーの原因)です。
特に乳児の食物アレルギーの原因としては、6割以上を占めます。
卵アレルギーになってしまう原因
食物アレルギーは、典型的には摂取後1時間以内に症状が出ますが、ときおり数時間後に症状が出ることがあります。
蕁麻疹などの皮膚症状の出現率が約9割と最も多く、次いでのどのかゆみや呼吸苦、喘鳴といった呼吸器症状が約3割と続きます。
その他、
- 嘔吐や下痢などの消化器症状
- 頭痛や意識障害といった神経症状
- 血圧低下や蒼白といった循環器症状
などが現れることがあります。
他の食品と比較して鶏卵は、腹痛や嘔吐、下痢といった消化器症状が出現しやすいといわれています。
また、異なるアレルゲンに同じ形をした部分があると、アレルギー症状が出ることがあり、これを交差反応といいます。
鶏卵は、ウズラなどの他の卵との交差性があり、オボムコイドで75%程度、オボアルブミンで80%程度といわれています。
そのため、卵アレルギーがある児がウズラなどの卵を食べたときに症状が出ることがあります。
卵アレルギーの診断方法
症状・経過を詳しくお聴きし、卵アレルギーの可能性を検討し、その上で検査をするかどうか判断します。
当院では採血によるアレルギー検査(特異的IgE抗体等の測定)を行っています。
ただ、特に乳児では実際に卵アレルギーがあっても検出できない場合もあります。
このような場合、皮膚プリックテストが診断の手がかりになることがあります。
卵アレルギーは治りますか?
卵アレルギーのほとんどは、卵白に含まれているアレルゲンが原因です。
- 卵白の半分を占めるオボアルブミン
- 卵白の1割を占めるオボムコイド
が代表的でオボアルブミンは加熱すると抗原性が低下(症状が出にくくなる)します。
オボムコイドは加熱しても残るため、加熱したものを食べても症状が出ます。
原因となる食べ物を食べても症状が出なくなることを、耐性獲得といいます。
日本において、鶏卵の耐性化率は2歳で14%、3歳で30%、4歳で49%、5歳で59%、6歳で66%という報告があります。
経過中のアレルギー検査の値(特異的IgE抗体値)のピークが高いほど、耐性化率が低くなります。
食事の進め方と注意点
卵アレルギーと診断されても、症状を誘発しない食事量で卵を摂取することで、耐性獲得が早くなります。
この食事量を見つけるのが、食物経口負荷試験と呼ばれるもので、食事量に注意した上で、卵を含んだ食事を進めていきます。
当院では食物経口負荷試験は行っておらず、他院へのご紹介とはなりますが、以下、鶏卵の調理や食事における注意点などお伝えしていきます。
加熱に注意する
オボムコイドは加熱しても抗原性は残りますが、それ以外は基本的に加熱すると抗原性が低下します。
特に小麦と一緒に加熱した場合、さらに抗原性が低下することが示唆されています。
また、加熱の程度も重要で、20分間ゆでた卵と、12分間ゆでた卵では抗原性が異なるといわれています。
つまり、20分ゆでた卵では症状が出なくても、12分ゆでた卵では症状が出る場合があります。
食品では、かきたま汁、茶わん蒸し、一部のプリン、一部のケーキでは加熱が不十分な可能性があります。
種類に注意する
卵ボーロは比較的強い抗原性を持つことが知られています。
これは、一緒に加熱される材料が抗原性に影響している可能性が考えられています。
また、和菓子は餅の部分に卵白が使用されていることが多いため注意が必要です。
卵アレルギーを疑われるお子さまをお持ちの方はぜひ一度当院までご相談ください。
初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。