こどもの便秘にあわてず対処する方法と病院にかかるタイミングは?

お子さんの便秘の悩みで来院される方は多く、小児科に来院される3~5%の方が便秘症であるという報告もあります。なかなか便が出ず、困ってらっしゃるお子さんをみると、親御さんも心配で苦しいのではないかと思います。

そこで、便秘とはそもそもどういった症状か、なぜ便秘は起こるのか、どういった症状が危険なサインなのか、自宅でできる対処法は何か、などをご紹介していきたいと思います。

なお、ここでは機能性便秘といって、器質的疾患(神経系の異常や内分泌系の異常、直腸や肛門の奇形といった基礎疾患)による便秘以外のものについてお伝えしたいと思います。

こどもの便秘症とはどんな症状?

まず便秘とは、何らかの原因で便が長い間腸に滞ってしまったり、排泄するのが難しくなったりする状態のことをいいます。

便秘の捉え方や考え方は様々で、初めての赤ちゃんで、1日便が出なくても心配される親御さんもいらっしゃいますし、1週間便が出なくて心配されて来院される方もいらっしゃいます。

そのため我々医療者は、お子さんの状態のみならず、親御さんの心情にも配慮して診療していく必要があります。

ただ、実際の治療を考えるタイミングは、おおよその場合、排便が週2回以下であったり、排便するときに硬くて痛がって泣いたり、硬い便で肛門が切れたりする場合などになります。

便秘があると、腹部が張ったり、痛くなったり、不快感が出たり、排便するときに痛みや出血したりする症状が出ることがあります。まだ言葉を伝えるのが難しいお子さんでは、症状は泣き叫ぶだけ、ということもあります。

こどもの便秘症はめずらしいことではない

ただ、こどもの便秘は決してめずらしいことではありません。

ある統計では小学生の5.7%が便秘(週に3回未満の排便回数)で、別の統計では女子高生の約32%が便秘(3日に1回未満)でした。このように便秘は、こどもの世代にはありふれたものであり、その都度一喜一憂せず、正しい対処法を知っておくのは大切です。

なぜ子供の便秘はおこる?(原因)

便秘が起こりやすいのは、離乳食を始める頃や、トイレのトレーニングの時期、入園や小学校入学の時期、引っ越しなどで生活環境が変わるときなどです。

その原因として多いのがお子さま自身の体験によるものです。

例えば硬い便や太い便を出すときに肛門が切れ痛かったり、トイレトレーニングで叱られたりすると、排便を嫌な体験として記憶してしまい、便意(便をしたくなること)を感じても我慢するようになります。

しばらく我慢していると、便は出なくなりますから、そのまま大腸の中に残ってしまいます。大腸は便の水分を吸収する役割があるので、ますます便が硬くなってしまいます。すると排便するときますます痛みが強くなり、さらに便を我慢するようになってしまいます。

このような状態が続くと、常に便が直腸にある状態になってしまい、その結果直腸が広がったり、便を感じる機能が鈍くなってしまいます。そうすると、ますます便が硬くなってしまいます。

このような二重の悪循環の結果、こどもの便秘症状は悪化してしまいます。

さらに便秘が長期にわたると、直腸の中に巨大な便のかたまりができ、便と直腸のすきまを通って液状の便が漏れるようになり、下着が汚れたりすることがあります。これは時に下痢と間違われて治療されることがあり、注意が必要です。

このように、便秘は放っておくとだんだんひどくなるため、早め早めの対応が重要です。
また、便秘に関わる中で2つの間違いやすい症状がありますので、こちらも合わせて参考にしてみてください。

6ヵ月未満の乳児に起こりやすい乳児排便困難症

そもそも便は、骨盤底筋と言われる骨盤の中にある筋肉を収縮させることと、お腹に力を入れて腹部の内圧を高めることと、2つの作業を協調して行うことで、出やすくなります。

ところが6ヵ月未満くらいの健康な乳児では、便が直腸まで到達しても、骨盤底筋が緩んだ状態で、お腹に力を入れてしまい、うまく排便できないことがあります。これを乳児排便困難症といいます。この状態のときには、10分以上いきんで泣いた後であっても、排出される便は軟らかい便です。

これは便秘ではなく、成長過程でお腹の力を入れることと、骨盤底筋に力を入れることの両方を、うまく協調しあうように学んでいくことで、自然に解消されていきます。

ストレスを抱えるお子さんに多い過敏性腸症候群

過敏性腸徴候群とは、腹痛や腹部不快感が、便秘や下痢に伴って出現し持続するのですが、その原因となる器質的疾患がみつからない病気のことをいいます。腹痛や腹部不快感は、排便するとすっきりしますが、その後も便秘や下痢をくり返したりします。

この病気は早ければ4歳頃から認めることがあり、思春期から30歳までの10~20%前後に認められ、この世代が最も多いです。

過敏性腸症候群のお子さんは、心理的なストレスや、体のストレスを抱えている方も多く、慎重な対応が必要ですが、約7割の方は、5年以内に症状が消えたり改善するといわれています。

まずは様子をみてもよい便秘の状態は?

排便回数は年齢や個人差が大きいですが、新生児で1日平均4回ほどで、月齢が上がるにつれ、次第に回数が減っていきます。母乳かミルク(人工乳)か、ミルクでもどの成分かで、便回数は変化することがあります。

排便回数は、成長とともに変化し、腸を通過する時間や、大腸の運動に影響を受けますが、だいたい3歳頃から大人の排便回数と変わらなくなります。

以下に、年齢別の平均的な便回数についてまとめてみました。

年齢 一日当たりの便回数
0~3ヵ月 母乳 2.9
ミルク 2
6~12ヵ月 1.8
1~3歳 1.4
3歳以上 1

このように、排便回数は年齢によってずいぶん変化しますが、特に乳児の場合はダイナミックに変化します。

乳児の場合は2,3日便がなくても、排便するときにいきんで泣いたりせず、ミルクが飲めて体重が順調に増えていっているようなら、もう少し様子をみても構いません。

ただし、3カ月未満の乳児・新生児は、器質的疾患によって生じる可能性がより高く、病院で診察してもらった方が良いでしょう。

※赤ちゃんに、あれ?血便?と思ったら
赤ちゃんに、ときどき点状や線状のごく少量の血便が見られることがあります。生後2~3ヶ月の頃が多く、数日間少量の出血が点状や線状に混じった後に消失し、しばらくしてまた血が混じる、という経過を数ヵ月間たどることがあります。
これは大腸リンパ濾胞増殖症という、大腸粘膜にリンパ濾胞という部分が増えて、そこからの出血で生じている可能性があります。出血はごく少量で、母乳育ちの児に多く認められます。元気で母乳の飲みも良く、体重増加も良好で、腹部所見にも異常がなく、機嫌も良いのが特徴です。
もちろん、出血量が増えてきたり、嘔吐を伴ってきたり、元気がなくなるというようなことがあれば、すぐに病院に相談しましょう。

次に、すぐに病院に行ったほうがよい、もしくは相談したほうがよい便秘の状態についてまとめました。

すぐに病院に行ったほうがいい便秘の状態(Red flags)

  • 生後 24 時間以降に初めて排便
  • 体重増加不良や体重減少
  • 繰り返す嘔吐
  • 血便がある
  • お腹が張っている
  • 腹部の腫瘤
  • 肛門の形態や位置の異常
  • 尿量が少ない
  • 直腸が肛門から出ている(直腸脱)

以上のような症状があるときは、すぐに病院に行ったほうが良いでしょう。

最初からお薬を考えたり、専門家に相談した方が良い徴候(Yellow flags)

  • 排便が自立した後であるのに便失禁や漏便を伴う
  • 便意があるときに足を交叉させるなど我慢姿勢をとる
  • 排便時に肛門を痛がる
  • 排便回数が少ない(排便回数が週に2回以下)
  • 排便時に出血する
  • レントゲンなどの検査で大腸・直腸の拡張を認める
  • 便秘の期間が長い
  • 他院での通常の便秘治療でも改善しなかった

これらの症状があるときも、やはり病院でしっかりと相談した方が良いです。

ご自宅でできる便秘解消方法は?

便秘は、食事や生活習慣も関連しており、ご自宅の食事を工夫することで対策が取ることができます。

食事

食物繊維

食物繊維は、お腹の中で消化されない食品中の成分を指し、排便を促す効果があります。3歳以上のこどもの場合、食物繊維を年齢+5~10g/日摂取することが推奨されています。
食物繊維が多い食品は、海藻類、豆類、きのこ類、穀類などがあります。

くだもの

プルーンや桃、りんごなどのソルビトールを多く含むくだものは、便を軟らかくし、便回数を増やす効果があります。また、くだものは食物繊維が多く含まれているものが多く、その点でも推奨されます。

水分摂取

脱水があると、便秘になりやすく、特に夏場は適切な水分補給が重要です。

乳製品

ヨーグルトなどの乳酸菌製品は、便秘を良くすることがあります。一方で、便秘や下痢の原因になってしまうことがあります。そのため、便秘や下痢にならないか、注意しながら摂取することが重要です。

生活習慣

朝食の摂取

食べ物が胃の中に入ると反射により、大腸がよく動きます。これは排便の刺激になり、重要です。特に朝食は欠食されやすく、便秘対策としてもしっかり食べることが重要です。また、夕食を抜く児童も約6%いるという報告がありますが、やはり便回数が少なくなりやすく、しっかり食べることが大切です。

病院での治療法

名駅ファミリアクリニックにも便秘を心配され来院されるお子さんがしばしばいらっしゃいます。

そのためまず、緊急性の判断のため、上記のRed flagsやYellow flagsに当てはまる症状や所見について確認します。
次に、以下の点についてお聞きします。

  • いつから便秘があるか
  • 排便の頻度について
  • 便の性状について(硬い便ばかりか、下痢も認めるのか、など)
  • 腹痛や血便の有無
  • 具体的な食事内容について
  • 生活状況について(年齢によりますが、トイレトレーニングの有無、学校での腹痛の有無、など)
  • 今までの治療歴

これらの話をもとに、お子さんや親御さんと話し合いながら、具体的な治療を決めていきます。
便秘薬は大きく分けて、

  1. 便を軟らかくするもの(機械性下剤)
  2. 腸管を動かすもの(刺激性下剤)
  3. 直腸まで下りてきた便を排出させるもの(浣腸など)に分かれます。

症状が軽い場合はまず1.から使用していきますが、3.を使って硬い便を排出させてから1.を使用するケースも多々あります。2.の使用は可能な限り避け、使用するとしても短期的で、連続使用を避けることが望ましいです。

これらの治療を行っていき、便秘のない状態を目指します。

参考文献
日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会編集.小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン,診断と治療社,2013
田原卓浩総編集.乳幼児を診る-根拠に基づく育児支援,中山書店,2015
五十嵐隆総編集.小児科臨床ピクシス18 下痢・便秘,中山書店,2010
Constipation in infants and children: Evaluation. UpToDate 36.0
水野克己著.お母さんがもっと元気になる乳児健診-健診を楽しくすすめるエビデンス&テクニック第2版,メディカ出版,2015

筆者プロフィール

院長:田島光浩

平成19年 信州大学医学部卒業卒後臨床研修の後、平成21年より名古屋大学総合診療科後期研修プログラム(日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医後期研修認定プログラム)にて後期研修を行う。 その間、名古屋大学総合診療科、愛知県がんセンター愛知病院緩和ケア内科、名古屋掖済会病院小児科、名古屋医療センター総合内科などで勤務。平成25年日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医取得。

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