あなたはどの頭痛?~様々な頭痛の紹介と病院外来へ行くことをおすすめする症状~

頭痛で悩んでらっしゃる方は非常に多く、慢性的に頭痛がある方は、全国に約4000万人いると推定されています。頭痛のために、仕事や日常生活に支障を来す人も多く、しっかりとした診断や治療が必要です。

頭痛には様々な種類のものがあります。どのような頭痛にどのような症状があるのか、すぐ病院外来へいったほうがいいのはどのようなときなのか、あるいは慢性的な頭痛がある場合、どのようなことに注意すればいいのか、などをまとめてみました。

頭痛の種類には大きくわけて2つある。

頭痛はまず、大きく「一次性頭痛」「二次性頭痛」に分けることができます。

一次性頭痛とは、他の病気を伴わず頭痛そのものが疾患であるものをいい、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などを指していいます。

二次性頭痛とは、何らかの基礎疾患があり、その基礎疾患が原因で発生する頭痛のことをいいます。例えば、風邪や頭部外傷、くも膜下出血などに並行して起こる頭痛が当てはまります。

まずは、他の病気が伴わない一次性頭痛から順番に述べていきます。

多くの方が感じやすい片頭痛

痛みの特徴:左右半分に生じる、脈打つ感じの頭痛

頭痛の中で、最も多く症状が見られるのは、片頭痛です。

慢性頭痛の診療ガイドラインによると、全国で約840万人の方が片頭痛持ちであるといわれており、非常に多く遭遇する疾患といえます。

特に20~40代の女性で多く、また高校生の9.8%、中学生の4.8%認められるなど、未成年者にも多いことが特徴です。

頭痛が4~72時間持続する、左右半分に生じる、脈打つ感じの頭痛で、日常的な動作によって頭痛が悪化し、さらに吐き気を伴ったり、光や音に過敏になったりする症状を伴うことがあります。

しかし、必ずしもこのような症状が片頭痛というわけではなく、実際の患者さんを診ていると、症状には様々なバリエーションがあります。

症状が強いこともしばしばあり、日常生活に支障をきたす方や、頭痛以外に別の症状を伴うことがあります。

患者さんの約3~6割に起こるしびれや不快感をもたらす「アロディニア」には要注意

頭痛以外に起きる症状に、アロディニアというものがあります。

体にビリビリ感や不快感といった異常感覚が生じることがあり、片頭痛患者の約3~6割に生じるといわれ、頭痛がないときにも起こることがあります。

特に、頭部に生じる場合は、頭痛が生じる側・同じ高さに生じやすく、頭を下にして寝るのが難しくなったり、髪をすくのが難しくなったりします。

頭部以外の場所に生じるときは、左右どちらでも生じることがあり、腕がビリビリする感じがしたりします。

片頭痛が長引くにつれ、アロディニアを認めることが増えていくことが知られており、頭痛を長引かせないように早めの治療が重要です。

目の異常や言語症状にも注意

また片頭痛持ちの約25%に、頭痛発作が起きる前に数分~1時間の前兆が現れます。

主なものに、目の症状、感覚異常、言語症状の3つがあり、目の症状としては、目の前がチカチカしたり、見えにくくなったりします。

感覚異常としては、顔や手足の片方がチクチクしたり、逆に感覚が鈍くなったりすることがあります。言語症状はまれですが、言葉が一時的にうまく話せなくなることがあります。

片頭痛のメカニズムは具体的に解明されておらず、完全な予防は困難

片頭痛が起こるメカニズムは、残念ながらいまだ明確にはなっておりません。前兆の原因に関しては、一過性に大脳皮質のニューロンが過剰に興奮した後、引き続いて電気的な抑制が起こる現象(大脳皮質拡延性抑制)が有力です。

頭痛発作に関しては、脳血管や三叉神経系の活性化とする説と、脳幹由来とする説に分かれています。

片頭痛は、ある一定の状況で起こりやすくなったり、増悪したりします。具体的には精神的状況(ストレス、緊張、疲れ、睡眠不足)、体の変化(女性の月経周期)、環境要因(天候の変化、温度差、出張や旅行、臭い)、食事(空腹、アルコール)などが挙げられます。

完全に避けることは難しいですが、できる限りこれらの状態を避けることが予防につながります。

病院での片頭痛の予防療法には、お薬によるものと、お薬によらないものがあります。

お薬によらないものとしては、頭痛体操やマグネシウム、ビタミンB2、夏白菊の摂取などが挙げられます。頭痛体操については、ページ下にある参考文献をご参照ください。お薬によるものには様々なものがありますが、ここでは割愛します。

頭の周りの筋に圧痛を伴う緊張型頭痛

痛みの特徴:締め付けられるような痛みが続く

緊張型頭痛とは、通常30分から7日間続く、締め付けられるような頭痛です。長時間同じ姿勢でいることや、うつ向き姿勢、運動不足、口や顎の機能に異常があること、ストレスなどによって誘発されることがあります。

片頭痛と異なり、動作によって頭痛が悪化したり、吐き気や光過敏、音過敏といった症状は伴いません。
この頭痛がある方は、頭の周りの筋に圧痛を伴うことが多く、かつ圧痛が強いほうが頭痛が強いことが多いです。

治療はお薬を使わないものとしては、適度に首周りの筋をほぐすことや、頭痛体操、鍼灸などがあります。頭痛体操については、参考文献をご参照ください。

断続的に起こる群発頭痛

痛みの特徴: 激しい痛み

群発頭痛とは、厳密に一側性の激しい頭痛発作で、眼の奥や側頭部に生じ、15分~3時間続きます。

同じ側の歯にも痛みを伴ったり、顔の真ん中に痛みを伴ったりすることもあります。夜間や睡眠中、早朝に頭痛発作が起こることが多いですが、日中にも起こります。頭痛と同じ側に自律神経症状(目の充血、涙、鼻水・鼻詰まり、発汗、耳閉感、眼瞼下垂など)を伴います。

また、発作中落ち着かず、歩き回るような方がしばしばいます。発作はアルコールで誘発されたり、症状が悪化したりします。頭痛は2日に1回~1日に8回くらいの頻度で、数週~数か月間続きます。

10万人あたり50~400人程度と、片頭痛に比べ少なく、20~40歳の男性に多い疾患です。

治療はトリプタンというタイプの薬で、皮下注射や内服薬・点鼻薬があります。

女性に多い発作性片頭痛

発作性片頭痛という、群発頭痛に症状が非常に似た疾患があります。

群発頭痛と同じように、一側性の激しい頭痛で、眼の奥や側頭部に生じ、頭痛と同じ側に自律神経症状(目の充血、涙、鼻水・鼻詰まり、発汗、耳閉感、眼瞼下垂など)を伴うことがあります。

群発頭痛と比べ、女性に多く、また発作時間が2~30分とより短く、発作頻度が1日5回以上とより多いです。この疾患は、インドメタシンという薬が著効します。

ここからは、他の病気を伴う二次性頭痛をご紹介します。

他の病気を伴う二次性頭痛

副鼻腔炎

鼻の奥や頬の奥、おでこの奥には、副鼻腔という空洞があり、そこに生じる炎症のことを、副鼻腔炎といいます。慢性的に続いているものは蓄膿症といい、ご存知の方も多いかもしれません。

これは風邪などをきっかけに副鼻腔まで炎症が広がったりして発症します。この病気でも頭痛を認めることがあり、お辞儀のように頭を前に倒すと頭痛が悪化したりします。

その他、頬やおでこを叩いたり押したりすると痛かったり、上あごの歯を叩くと痛かったりします。

しばしば見かける病気ですが、しっかりとお話を聞いておかなければ見落とされやすい病気であり、風邪や花粉症など、きっかけとなるエピソードがなかったかをきちんと知ることが重要です。

薬剤誘発性の頭痛

頭痛薬を使用し過ぎたり、不適切に乱用しても、かえって頭痛が悪化したり、新たに頭痛が出現する場合があります。

1か月のうち、10日を超えて使用(同日複数回の使用も1日と数える)する場合は注意が必要です。薬物誘発性の頭痛の治療原則は、
①原因薬物の中止
②薬物中止後に起こる頭痛への対処
③予防薬投与
の3つですが、個々のケースに応じて柔軟に対応する必要があります。

くも膜下出血

脳の血管が破綻し、脳の表面を覆う、くも膜という膜の下に出血する病気です。
典型的な症状としては、今まで経験したことがない突然の激しい頭痛です。くも膜下出血が生じる約20%の方に、大出血の前に少量の出血をすることがあり、その出血による警告症状が現れることがあります。

警告症状は突然の頭痛が最も多いですが、吐き気や嘔吐、めまい、視力障害を伴うことがあります。

髄膜炎

髄膜という、脳の表面を覆う場所に炎症が生じる病気です。
発熱や頭痛、項部硬直(患者さんの頭を持ち上げようとすると抵抗がある症状)などを認めます。細菌性の髄膜炎は緊急性が高く、疑われる場合は病院で詳しく調べてもらう必要があります。

脳腫瘍

脳腫瘍のある患者さんの約半数は、どこかの時点で頭痛症状を認めるといわれています。

特発性低髄液圧性頭痛

脳や脊髄のまわりを満たす液体(髄液)が、何らかの理由によって漏れてしまい、頭痛やめまい、耳鳴り、だるさなどの症状が生じることがあり、これを特発性低髄液圧性頭痛といいます。
この病気は、咳込み、いきみ、気圧の急激な低下、性行為、頭頚部外傷、しりもちなどが誘因となって症状が出てきます。

横になった状態から、座ったり立ったりした状態になると、15分以内に頭痛が悪化することが特徴で、これを起立性頭痛といいます。また、耳鳴りや聴力低下、光過敏、吐き気を伴ったりもします。

治療法としては、点滴をしながら安静に横になって休むことや、ブラッドパッチという治療があります。ブラッドパッチとは、血液が自然に固まっていく性質を利用し、髄液が漏れているところの近くに針を刺し、血液を注入することで、穴をふさぐ治療法です。
この疾患が疑われる方は病院に紹介させて頂くことがあります。

すぐに病院にいくことをおすすめする頭痛の見分け方は?

以上のように、頭痛には、ほんとうに様々な原因があり、自覚症状だけでどの頭痛に当てはまるのかを判断するのはなかなか難しいと思います。
しかしその中で、特に気を付けなければならず、すぐに病院での診察をおすすめする頭痛の症状を、以下にまとめました。

  1. 突然の頭痛
  2. 今まで経験したことがない頭痛
  3. いつもと様子の異なる頭痛
  4. 頻度と程度が増していく頭痛
  5. 50歳以降に初発の頭痛
  6. 神経脱落症状※1を有する頭痛
  7. がんや免疫不全の病態を有する頭痛
  8. 精神症状を有する頭痛
  9. 発熱・項部硬直※2・髄膜刺激症状※3を有する頭痛
  • ※1 麻痺や言葉がうまく話せなる、目が見えなくなる、といった神経症状
  • ※2 患者さんの頭を持ち上げようとすると抵抗がある症状
  • ※3 髄膜という、脳を覆う膜に刺激があると生じる症状で、項部硬直やケルニッヒ徴候(膝を曲げて股関節を90度屈曲してから、膝を伸ばしていくと、抵抗がある症状)などがある

このような症状がある場合は、二次性頭痛の可能性があり、早めに病院外来でしっかりと診てもらうことをおすすめします。

もちろん、一次性頭痛が疑われる場合も、その他の症状がある場合も、ご自分で判断されず、気になるようであれば、自己解決の道を探らず、病院でしっかりと診てもらうことを特におすすめします。

自分で対処できる頭痛は?

原因や症状が多岐に渡る以上、ご自分で対処することには、多くの危険があり、推奨はできません。

例えば、二次性頭痛を見逃してしまうこともありえますし、薬剤誘発性頭痛を引き起こしてしまうこともありえます。ご自分で判断し対処されるのではなく、病院でしっかりと診てもらうことをお勧めします。

名駅ファミリアクリニックでの頭痛の診療

名駅ファミリアクリニックにも頭痛を訴え来院される方がしばしばいらっしゃいます。
新規の頭痛の鑑別診断が必要な方もいれば、今まで片頭痛で病院外来に通院されてきて、今回もいつもと同じ症状で来院、という方もいます。

名駅ファミリアクリニックでは、まず緊急性が高い頭痛かどうかの判断を行います。

具体的には、くも膜下出血や髄膜炎、緑内障などの二次性頭痛の鑑別がまず重要で、それらが疑われる場合は、速やかに他院に紹介いたします。
片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛が疑われる場合、まず片頭痛かどうかを鑑別します。

具体的には以下の点についてお聞きしていますので、自覚症状のある方は、外来受診時にこの部分を説明して頂けるとより確定的な診断がつきやすくなります。

  • 頭痛はいつ始まったか
  • 頭痛が生じるタイミングはいつか
  • 頭痛は一度出現すると、どれくらい続くか
  • 普段どのような仕事をしているか(仕事と姿勢の関連についてお聞きします)
  • 頭痛が生じる場所はどこか
  • 頭痛は脈打つ感じか
  • 歩行や階段の上り下りなどの日常的な動作で、頭痛が悪化するか
  • 頭痛は吐き気を伴うか
  • 光や音に対して敏感になっているか
  • 前兆はあるか

一次性頭痛といっても、片頭痛と緊張型頭痛がともに認められる場合もありますし、一つの原因にとどまらないことが多いため、診察を行う際にはさまざまな可能性を考えながらすすめていきます。

治療については、薬剤誘発による頭痛のリスクなども説明しながら、慎重に経過をみていきます。

また頭痛の鑑別が難しい方などに、頭痛ダイアリーといって、頭痛についての一日の記録を付けて頂く場合もあります。

参考文献
日本神経学会・日本頭痛学会監修.慢性頭痛の診療ガイドライン,医学書院,2013
金城光代ら監訳.メキメキ上達する頭痛のみかた,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2016
日本頭痛学会.大脳皮質拡延性抑制と片頭痛発生の連続性を説明する新しいパラダイム
松村真司・矢吹拓編集.外来診療ドリル,医学書院,2016
Pathophysiology, clinical manifestations, and diagnosis of migraine in adults. UpToDate 29.0
坂井文彦監修.1日2分の頭痛体操

筆者プロフィール

院長:田島光浩

平成19年 信州大学医学部卒業卒後臨床研修の後、平成21年より名古屋大学総合診療科後期研修プログラム(日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医後期研修認定プログラム)にて後期研修を行う。 その間、名古屋大学総合診療科、愛知県がんセンター愛知病院緩和ケア内科、名古屋掖済会病院小児科、名古屋医療センター総合内科などで勤務。平成25年日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医取得。

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