風疹の症状と予防接種の重要性~どんなタイミングで受けたほうがよい?

人から人へ感染力の強い風疹は、妊婦が感染すると、胎児に後遺症を残すことがあり、是非とも予防していきたいウィルスです。

風疹とはどういった感染症で、どんな合併症があるのか。またどういった予防法があるのか。このようなことについてお伝えしていきます。

風疹とは?

風疹は、風疹ウィルスによって起こる、発熱や発疹、リンパ節腫脹を特徴とする感染です。

しかし実は約20~30%は不顕性感染といって、感染しているにもかかわらず、症状が現れない感染となります。

そのため周囲の流行状況などを考慮しながら、予防対策を考える必要があります。

以下、症状が現れる感染(顕性感染)についてお伝えしていきます。

主な症状はどんなもの?

風疹は、感染してから症状が現れるまでの期間(潜伏期間)は14~21日で、その期間を経て症状が現れます。

発疹は顔面から始まることが多く、その後全身へと広がっていきます。発疹は3日間ほど続き、たまに軽い痒みを訴えることもあります。

発熱は発疹の出現に前後して現れます。年少児では発熱が軽く、まったく発熱がない場合もあります。

発疹の出現前に、口の中の上壁の奥(軟口蓋)にForchheimer斑という、点状のポツポツが出現することもありますし、その1週間くらい前には、耳の後ろや後頚部・後頭部のリンパ節が腫れる場合があります。この腫れは数週間続きます。

思春期以降の女性では、手や指などの関節の痛みや関節炎が約70%に認められ、数日から2週間続きますが、まれに1ヵ月以上続く場合もあります。

風疹が引き金で起こる合併症もある

・血小板減少性紫斑病
風疹患者の約3000人に1人に、血小板という止血作用がある成分が減少し、紫斑という青い斑点が出てくる病気である、血小板減少性紫斑病を合併することがあります。
発疹が現れてから数日~14日で生じることが多いです。
・脳炎
風疹患者の約6000人に1人の頻度で生じることがあります。小児より成人のほうが頻度が高いです。言動がおかしくなったり、自分の名前や住所が書けなくなる、といった症状が現れることがあります。
発疹出現後2~7日に発症することが多く、後遺症も残さず1~3週間で治ることが多いですが、重症だと命を落とすこともあります。
・肝炎
成人や年長児に合併することが多いです。ほとんどが8週間以内に治ります。

赤ちゃんに起こりやすい先天性風疹症候群について

先天性風疹症候群について、ご存知の方は多いかもしれません。

妊娠20週頃までに、妊婦が風疹にかかった場合に、その赤ちゃん(胎児)に感染が起こり、障害を残すことがあり、これを先天性風疹症候群と呼びます。

先天性風疹症候群にかかると、眼の後遺症(白内障、網膜症、緑内障)や、循環器の後遺症(動脈管開存症、肺動脈狭窄症)や、耳の後遺症(感音性難聴)、脳の後遺症(精神遅滞、行動異常)などを生じることがあります。これらのうち、難聴の頻度が最も高いと言われています。

先天性風疹症候群は、妊娠初期ほどかかりやすく、症状もそろいやすいです。

風疹は2012~2013年にかけて大流行し、その2年間で16000人を超える全国的な流行となりました。

感染者は約90%が成人で、男性が女性の約3倍多くかかりました。この流行の影響で、45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されました。

このように、風疹は非常に気を付けなければならない感染症であり、次に予防方法についてお伝えしていきます。

風疹の予防策は予防接種で免疫をつくること

残念ながら風疹には特効薬がなく、あらかじめ風疹にかからないようにする、予防接種が最も重要な対策になります。

風疹は1回の接種だけでは免疫ができる割合は約95%であり、2回接種すると約99%まで高めることができます。

次にお伝えするように、世代によって小児期の風疹ワクチン接種の有無やその回数が異なり、免疫がついていない方もたくさんいる可能性があります。

特に風疹の予防接種を受けるべき方は?

現在、小児期においては、麻疹風疹混合ワクチンを、1歳のときと小学校入学前の1年間(5歳以上7歳未満)に、それぞれ1回ずつ接種する、定期接種が行われています。

しかし、1962年4月1日以前生まれの方は、男女とも定期接種が実施されていなかった世代ですし、1962年4月2日~1979年4月1日生まれの方は女性のみ中学生で1回、1979年4月2日~1987年10月1日生まれの男女は中学生で1回、1987年10月2日~1990年4月1日生まれの男女は幼小児期に1回しか接種機会がありませんでした。

1990年4月2日以降生まれから、男女ともに2回の接種機会があった世代になりますが、麻疹風疹混合ワクチンが定期接種となったのは2006年度からでした。

先にお伝えしたように、風疹ワクチンは1回接種のみでは不十分であり、風疹ワクチンを接種していない成人や、1回のみしか接種していない人には、風疹ワクチンの接種がお勧めです。

また、風疹の抗体が低い場合もやはり風疹ワクチンを接種することが推奨されます。

風疹の予防接種費用と助成金制度とは?

風疹予防接種には自治体による助成制度があります。

しかし、その内容は各市町村で異なるため、お住いの地域にある役所に確認することをおすすめします。

名古屋市の場合ですと、以下のような制度となっています。

接種対象者は、次の1から3のすべてを満たす方です。

  1. 名古屋市に住民登録がある方
  2. 次のアからウのいずれかに該当する方
    ア 妊娠を希望する女性
    イ 妊娠を希望する女性のパートナー
    ウ 妊娠中の女性のパートナー
  3. 事前の抗体検査の結果が以下に示す数値に該当し、風しんに対する免疫が不十分と判断された方
    男性の場合:HI法で16倍未満の方、またはEIA(IgG)法(デンカ生研株式会社製キット)で6.0未満の方
    女性の場合:HI法で32倍未満の方、またはEIA(IgG)法(デンカ生研株式会社製キット)で8.0未満の方

上記の対象となる方は、市内の指定医療機関にて無料で接種を受けることができます。名駅ファミリアクリニックでももちろん無料で予防接種ができます。

風疹予防接種のときの注意点

妊娠中の女性、妊娠の可能性がある女性は接種できません。
女性は接種前1ヶ月程度避妊し、確実に妊娠していない状態で接種を受けてください。また女性は体内からウイルスが消えるまで、接種後2ヶ月間の避妊が必要です。

ただし、万が一妊娠中に接種をしたことが判明しても、中絶を考慮する必要はありません。

それは、ワクチンに含まれる風しんウイルスは病原性が弱いため、実際に予防接種が原因で先天性風しん症候群が発生した事例は報告されておらず、そのような可能性はほとんどゼロに近いものと考えられているからです。

もし、妊娠中に接種したことが判明した方は、まずはかかりつけの産婦人科の先生にご相談してください。なお、男性が接種する場合の避妊は必要ありません。

名駅ファミリアクリニックでの予防接種の流れ

当院では、すでに風疹の抗体検査結果をお持ちの方は、その結果に基づき風疹の予防接種(麻疹風疹混合ワクチン)を行っていきます。

また、抗体がついているかどうかよくわからない、といった方には、風疹抗体価(HI法など)の測定を行うこともあります。

このとき、麻疹など他の抗体検査も同時に行うことができ、ご本人と相談しながら決めていきます。
詳細はこちらのページをご参照ください。

風疹ワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)を接種した後、約6週間経ってから、抗体検査を行い、免疫が付いているかどうかのチェックを行います。

もし抗体がついてない場合には、前述の助成制度の条件を満たす方であれば、再度風疹ワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)を無料で接種することができます。

参考文献
海老澤元宏他監修.食物アレルギー診療ガイドライン2016,協和企画,2016
日本小児感染症学会編.日常診療に役立つ小児感染症マニュアル2017,東京医学社,2017
『小児内科』・『小児外科』編集委員会共編.予防接種Q&A改訂第3版,東京医学社,2013
五十嵐隆編.別冊・医学のあゆみ 小児用ワクチンUPDATE2017,医歯薬出版株式会社,2017
中野貴司編.予防接種の現場で困らないまるわかりワクチンQ&A2版,日本医事新報社,2017
豊原清臣ら監修.開業医の外来小児科学第6版,南山堂,2013
国立感染症研究所、「風疹Q&A」[https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubellaqa.html]
名古屋市役所、風しん予防接種の費用助成について[http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000087308.html]

筆者プロフィール

院長:田島光浩

平成19年 信州大学医学部卒業卒後臨床研修の後、平成21年より名古屋大学総合診療科後期研修プログラム(日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医後期研修認定プログラム)にて後期研修を行う。 その間、名古屋大学総合診療科、愛知県がんセンター愛知病院緩和ケア内科、名古屋掖済会病院小児科、名古屋医療センター総合内科などで勤務。平成25年日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医取得。

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