長く続く下痢や腹痛は過敏性腸症候群の可能性も!原因や対処法は?

長い間、お腹が痛くなったり、下痢をしたりをくり返したということはありませんか?

それはもしかすると過敏性腸症候群という病気の可能性もあります。

ここでは、過敏性腸症候群とはどんな病気なのか、原因や治療はどういったものがあるのか、どんなことに気をつければいいのか、といったことについてお伝えしていきます。

過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群とは、他の病気が隠れていないことが前提ですが、便秘や下痢、腹痛などの消化器症状が、慢性的に続いたり、あるいは間隔をおいて再度くり返したりする病気です。

約10%前後の人がこの病気であると言われており、非常にありふれた病気と言えます。女性のほうが男性よりもやや多く、年齢が上がるにつれ少なくなっていきます。

国際的に最もよく使われている、RomeⅣの診断基準によると、

最近3ヵ月の間、1週間につき、少なくとも1日以上腹痛があり、下記の2項目以上の特徴を示す

  1. 排便に関連する
  2. 排便頻度の変化に関連する
  3. 便形状の変化に関連する

過敏性腸症候群は、便秘症状が優位な便秘型、下痢症状が優位な下痢型、便秘と下痢のある混合型、これらのいずれにも当てはまらない分類不能型の4つに分かれます。この分類は、ブリストル便形状尺度という、便の形を評価するスケールを使って評価します。

この4つのいずれかに当てはまったとしても、時間が経つと、別のタイプに移行することもあります。

過敏性腸症候群になる原因

非常にありふれた病気である過敏性腸症候群ですが、原因は残念ながらまだ解明されていません。

しかし過敏性腸症候群のある人がストレスを感じていると、便秘や下痢、腹痛などの症状が悪化します。

また、うつ病や不安症は、過敏性腸症候群を発症するリスク要因になると言われています。

また、感染性胃腸炎にかかると、その後少なくとも2~3年は過敏性腸症候群の発症率が約6~7倍増えると推定されています。

過敏性腸症候群で起こりやすい合併症

過敏性腸症候群は、機能性ディスペプシアといって、胃カメラでみても特に問題ないにもかかわらず、食後の胃もたれやみぞおちの痛みなどを訴える症状を合併する率が高いことが指摘されています。

さらに胃食道逆流症といって、胃酸などが胃から食道に逆流する疾患を合併する率が高くなったり、うつ病や不安障害などの何らかの精神疾患を合併する割合が高いと言われています。

このように様々な合併症のある過敏性腸症候群ですが、年齢を経るにつれて改善していくことが推測されています。

ある報告では、50歳以上での有病率が低くなる傾向があると指摘されています。

名駅ファミリアクリニックではどのように診察していく?

鑑別上、特に注意すべき症状・所見としては、以下が挙げられます。

  • 50歳以上での発症
  • 血便や黒色便の存在
  • 夜間の下痢
  • 原因不明の体重減少
  • 検査での異常(貧血の存在、炎症を示唆する血液検査所見、糞便中のカルプロテクチンというタンパク質の上昇)
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)や大腸がんの家族歴

これらのいずれかに当てはまるような場合は、大腸カメラなどのより詳しい検査が必要になってきますので、より詳しくお話をお聴きしながら、消化器内科専門の医療機関にご紹介する場合もあります。

過敏性腸症候群と考えられる方には、生活上のアドバイスや内服治療を行っていきます。

生活上のアドバイス

過敏性腸症候群の症状は、炭水化物や脂質が多い食事、コーヒー、アルコール、香辛料によって悪化する場合があります。

また運動は腹痛や便秘・下痢の症状改善が期待でき、定期的に続けられる適度な運動をお勧めします。

内服治療

過敏性腸症候群に使用する内服薬は多くあり、ここでは主なもののみご紹介します。

過敏性腸症候群のある人の腸内常在菌は健常者と異なり、便秘型や下痢型、混合型の違いによっても常在菌の種類が異なってきます。

常在菌の産物である有機酸と症状が関連すると言われており、過敏性腸症候群へのプロバイオティクス(腸内の細菌叢を整え改善する整腸剤)の有効性が指摘されています。

また、下痢型の場合は5-HT3拮抗薬などを、便秘型にはセンナやマグネシウム製剤などを使用していきます。

うつや不安障害などの合併があれば、そちらの治療も同時に行うことで、症状が改善していく場合もあります。

このように、生活習慣の改善や内服治療を組み合わせながら、症状が改善することを目指して治療していきます。

下痢や腹痛に長くお悩みの方で、当院での診療をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。初診・再診とも、WEB予約、またはお電話で受付を行っております。

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参考文献
日本消化器病学会編.機能性消化管疾患診療ガイドライン2014-過敏性腸症候群(IBS),南江堂,2014
Pathophysiology of irritable bowel syndrome. UpToDate 21.0
Clinical manifestations and diagnosis of irritable bowel syndrome in adults. UpToDate 28.0

筆者プロフィール

院長:田島光浩

平成19年 信州大学医学部卒業卒後臨床研修の後、平成21年より名古屋大学総合診療科後期研修プログラム(日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医後期研修認定プログラム)にて後期研修を行う。 その間、名古屋大学総合診療科、愛知県がんセンター愛知病院緩和ケア内科、名古屋掖済会病院小児科、名古屋医療センター総合内科などで勤務。平成25年日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医取得。

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