赤ちゃんと幼児の湿疹にはこれだけの原因が!日常生活でできる予防方法は?

こどもの体は月日を重ねるにつれ、ダイナミックに変化していきますが、皮膚についても例外ではなく、誰にでも起こりやすい疾患として挙げられるのが「湿疹」です。この記事では特に乳幼児の湿疹についてお伝えしていきます。

赤ちゃんや幼児の肌はとてもデリケートです。また乳幼児期に起こりやすい湿疹の種類も意外に多く、気づいたらいつの間にか色々な湿疹が同時にできていることも多いです。

湿疹は赤ちゃんや乳児になぜ起こりやすいのか。どういった湿疹があって、どう対処していけば良いのか。自宅でケアしていくのに良い方法はあるのか。このようなことについて、お伝えしていきたいと思います。

なぜこどもには湿疹が起きやすいのか?

新生児や乳幼児は、とにかく湿疹になりやすいです。
湿疹の代表的な疾患である、アトピー性皮膚炎に限ったデータですが、乳児で6~32%、幼児で5~27%、学童で5~15%、大学生で5~9%と、やはり年齢が小さければ小さいほど多いといえます(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015より)。

湿疹になりやすい理由は、新生児や乳幼児の皮膚のバリア機能にあります。
それは皮脂分泌量、皮膚の厚さ、角質層の性質、汗の影響という4点から見通すことでわかりやすくなります。

1. 皮脂分泌量
生後1~2か月までは、母体由来の性ホルモンの影響で皮脂分泌が多く、顔や頭などが油っぽくなりやすいです。このため脂漏性皮膚炎が生じることもあります。
しかし生後3か月頃から、このホルモンの影響がなくなっていき、皮脂分泌量が急激に減っていきます。
この時期は、水分を保持する成分(セラミドや天然保湿因子)も少なく、生涯で最も乾燥しやすいカサカサ肌になりやすく、アトピー性皮膚炎を発症してしまうのが最も多い時期でもあります。
2. 皮膚の厚さ
子どもの皮膚は大人よりも薄く、部分によっては大人の1/2~1/3の厚さしかないところもあります。その点からも刺激に弱く、バリア機能が未熟であるといえます。
3. 角質層の性質
表皮の細胞は、成長するにつれて、表層に向かってどんどん押し上げられていきます。そして角質層と呼ばれる、皮膚の表面にあたる部分では、細胞が死んでペシャンコになっており、時間ととともにやがて剥がれ落ちていきます。
これらの表皮細胞が生まれてから剥がれ落ちるまでの期間のことを、ターンオーバーといいます。
若くなれば若くなるほどこのターンオーバーのサイクルが短く、角質層の細胞が成人ほどペシャンコにならないうちに剥がれ落ちてしまうので、皮膚のバリア機能が未熟といえます。
4. 汗の影響
また、乳幼児は汗を出す汗腺の数は成人とほぼ同じですが、表皮は大人よりも面積が小さいため、単位面積当たりの汗腺の数が多く、汗をかきやすくなります。従って汗による痒みの誘発やあせもの出現の頻度が大人より多くなり、様々な皮膚トラブルが生じやすくなります。

これら乳幼児の肌がもつ4つの特徴から、皮膚のバリア機能が弱く、様々な刺激に敏感であり、また痒みで掻きやすく、結果的に湿疹などの皮膚トラブルが生じやすくなるといえます。

乳幼児期に多い湿疹と対処法

それでは日常の中で目にする頻度が高い湿疹とはどのような疾患なのでしょうか?

実際に名駅ファミリアクリニックの診療の中で多く認める湿疹について、いくつかお伝えしていきたいと思います。

脂漏性皮膚炎

生後数か月は、母体由来の性ホルモンの影響で、皮脂分泌の量が多いことは先にお伝えしました。

頭皮や顔、耳周囲、わきや胸、陰部では、特にこの皮脂が活発に分泌され、ここにマラセチアなどの皮膚に常在する真菌(カビのこと)が関与して、炎症が起きると考えられています。

その結果皮膚が赤くなったり、黄色いかさぶたのようなものがくっついたりします。
この湿疹はスキンケアだけで良くなることもありますが、ステロイド外用薬を使うこともあります。

また、湿疹が出現する場所や症状が、アトピー性皮膚炎と非常に似ており、区別するのが困難です。

脂漏性皮膚炎は、生後数か月で次第に改善していくことが多いのですが、アトピー性皮膚炎は数か月以上続いたり、湿疹をくり返しますので、ただちに断定せず、時間経過をみて判断していくことも多いです。予防のためのスキンケアについては後述します。

オムツかぶれ

おむつかぶれは、尿や便の刺激、さらには何度もお尻を拭く刺激によって、バリア機能が低下することによって生じます。

具体的な症状としては、少し赤みがある状態から、びらんといって、皮がめくれてしまった状態まであります。

治療については、スキンケアと塗り薬を使った治療があります。
まずスキンケアについては、

  1. オムツをこまめに取り換え、便や尿といった皮膚の刺激になるものを早めに取り除く
  2. できるだけこすらずそっと拭き取る
  3. 症状が強い場合は座浴やシャワーで洗い流す

というように、できるだけお尻の皮膚に刺激を与えず、きれいにする工夫が大切です。

また実際の治療は、ワセリンという皮膚を保護する軟膏や、亜鉛華軟膏といって、炎症を抑え、便や尿などから皮膚を保護する効果のある塗り薬などを使っていきます。

よだれかぶれ

赤ちゃんの口のまわりは、よだれだけではなく、離乳食を食べるときに口のまわりにつく食べ物の刺激や、よだれや食べ物を拭き取ることによる刺激によって、どうしても荒れがちになります。

よだれかぶれに対するスキンケアも基本的にはオムツかぶれと同じで、刺激となるよだれや食べ物をこまめに早く取って、こすらないように拭き、さらに保湿剤を塗って皮膚を保護します。

あせも

あせもは乳幼児に特に多く、首まわりや体幹、脇などに生じやすいです。エクリン汗腺という汗を出す腺が詰まることによって生じます。

汗腺が詰まる深さや炎症の合併によって、発赤がある場合もない場合もあり、数㎜大の大きさで、プツプツとした盛り上がった形をしています。

たくさん汗をかいている状態が発症のリスクであり、このような状態が改善されると自然になくなることが多いですが、ステロイドの塗り薬を使って治していくこともあります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、悪くなったり良くなったりをくり返す、痒みのある湿疹を主とした疾患です。

多くはアトピー素因といって、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎といった疾患を持っていたり、家族にそのような疾患を持つ人がいたり、アレルギーの原因(アレルゲン)を持っていたりします。

皮膚炎は痒みを伴い、赤くなっていたり、ジクジクしていたり、かさぶたのようになっていたり、皮膚の皮が厚くなっていたりします。

湿疹は左右対称に現れやすいです。乳児期には顔や頭から始まり、しばしば体幹や手足に広がってきます。幼児期は首まわりや手足の関節部分に出てきやすいです。

アトピー性皮膚炎は、慢性的に続いたり、くり返し出現することが特徴的ですが、ガイドライン上は「慢性」の基準は乳児では2か月以上、その他では6か月以上となっています。

しかし実際に2か月あるいは6か月以上治療を待つことは少なく、他の原因も考えながら、治療を開始することがほとんどです。

アトピー性皮膚炎の原因や悪化因子としては、食べ物や汗、皮膚への物理的刺激、細菌やカビ、アレルゲン、ストレスなどが挙げられます。これらの原因を調べ、時間をかけて対策を取っていくことが重要です。

治療はスキンケアをベースとした上で、悪化因子の除去と、ステロイド外用薬などの使用が中心となります。

ステロイド外用薬などの使用に関しては、プロアクティブ療法といわれる、湿疹が治ってもすぐに塗り薬を止めるのではなく、少しずつ減らしてぶり返しを防ぐ治療がおすすめです。

湿疹がすぐにぶり返してしまうのは、一見治ったように見えても、炎症が起こった皮膚の奥(真皮)に、まだわずかに炎症が残っているためです。すぐに塗り薬を止めるのではなく、2~4週間くらい、2日に1回の頻度で塗り続けます。

湿疹が出なければ、週に2回の頻度で塗るようにします。このようにゆっくりと塗る頻度を減らしていくプロアクティブ療法は、従来の治療法と比べて再燃が少ないうえに、再燃するまでの期間も長く、トータルで塗るステロイド外用薬の量も少なくて済むといわれています。

なかなか治らないとき、すぐに病院にかかるべきタイミングは?

今までお伝えしてきたように、湿疹・皮膚炎といっても、様々な疾患があります。

また湿疹は放っておくと、他の皮膚疾患を合併することもあります。そのため、例え見た目だけで軽い症状だと思ってほうっておくよりかは、早めに小児科や皮膚科を受診したほうが良いと思います。

日常生活で予防できる医師おすすめのケア方法は?

乳幼児期は特に皮膚のバリア機能が弱く、様々な刺激に敏感です。そのため、保湿対策や入浴による刺激物の除去が重要です。

生まれてすぐから保湿剤を

両親・兄弟にアレルギー疾患を持つ子供に、新生児期から保湿剤を全身に塗布することで、アトピー性皮膚炎の発症率が30~50%低下するという報告や、湿疹があると、食物アレルギーへの感作が生じやすいという報告があります。

これらのことから、保湿剤を早期から全身に塗布して保湿することがお勧めです。また、保湿剤を使うタイミングは、後ほどお伝えするように、入浴後すぐがおすすめです。

入浴について

入浴は皮膚の表面にある汚れを洗い落としたり、肌に潤いを与えたりする効果がありますが、気をつけないと、かえって皮脂を余分に剥がしたり、皮膚を傷めてしまうこともあります。

入浴するときの注意点について、以下にまとめました。

1.お湯は適温で
皮膚は温まり過ぎると痒みが出てきます。38~40℃の湯に入ると、皮膚バリア機能が改善すると言われています。
2.優しく洗ってよくすすいで
石鹸やシャンプーは、直接皮膚にかけるのではなく、まずは手のひらにとって泡にして使用したほうが良いです。
できるだけ低刺激性、弱酸性、無香料・無着色、防腐剤無添加、アレルギーや皮膚刺激テスト済みの項目があるものが望ましいです。泡を手にたっぷり取って、こすらずに丁寧に手で優しくなでるように洗います。
たとえひどい湿疹があり、皮膚がむけてジクジクした液が出ていたり、とびひなどの感染があっても、泡をそっとつけて優しくなでるように洗えば、あまりしみたりせず、細菌の数を減らすことで、より清潔にすることができます。
またシャンプーは残らないように十分に洗い流すようにしましょう。特に髪の生え際、鼻の横、顎などは成分が残りやすいといわれています。そのままにしておくと、その成分に対する接触性皮膚炎を起こすことがあります。
3.入浴後
入浴後はやわらかい綿製のタオルで、水気を吸い取るように押しふきし、決してゴシゴシこすらないように気をつけます。
髪はドライヤーで一気に乾かすと皮膚も乾燥しすぎてしまうため、タオルで押しふき(こするのではなくポンポンと軽くたたくように)して丁寧に何度もふき、自然乾燥させるのが良いでしょう。
4.保湿剤を忘れないように
肌は当然お風呂から上がるとだんだん乾いてきますので、保湿剤を塗るのは肌が水分で潤っている入浴直後(5~15分以内)が良いです。保湿剤とステロイド外用薬はどちらを先に塗ったほうが良いか、しばしば質問を受けます。

どちらが先でも良いのですが、塗りやすさという点では、まず保湿剤を塗っていただいた後に、ステロイド外用薬を塗っていただいたほうが良いのではないかと思います。

参考文献
一般社団法人日本アレルギー学会アトピー性皮膚炎ガイドライン専門部会作成.アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015.協和企画,2015
水野克己ら編著.子どものアレルギー×母乳育児×スキンケア.南山堂,2016
金子堅一郎編.イラストを見せながら説明する育児のポイントと健康相談.南山堂,2015
田原卓浩総編集.乳幼児を診る-根拠に基づく育児支援,中山書店,2015
清益功浩著.小児アレルギー疾患診療ハンドブック,中外医学社,2015
Miliaria. UpToDate 3.0

筆者プロフィール

院長:田島光浩

平成19年 信州大学医学部卒業卒後臨床研修の後、平成21年より名古屋大学総合診療科後期研修プログラム(日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医後期研修認定プログラム)にて後期研修を行う。 その間、名古屋大学総合診療科、愛知県がんセンター愛知病院緩和ケア内科、名古屋掖済会病院小児科、名古屋医療センター総合内科などで勤務。平成25年日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医取得。

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